大東建託、CLT使用量を2028年に現在の8倍増へ
10月から太陽光パネルを搭載した「CLT DK-ZEH」販売開始
CLT使用量を2028年までに現在の8倍とするロードマップを策定した。新たな商品や新仕様の開発に取り組むほか、安定した施工体制構築に向けた人材育成などを進めていく。
大東建託が、新たにCLTの使用量を28年度までに今年度比8倍とする目標を策定した。
木質建材CLTは木材を直交積層した木質厚型パネルで、コンクリート並みの強度と高い断熱性を持ち、環境への配慮もできることから、省エネ住宅に最適な建材として近年日本での注目が高まっている。1995年ごろからオーストリアを中心として発展し、現在ではヨーロッパ各国で広く普及している。大東建託は、環境への貢献度が高まることや現場省力化につながることなどを理由に、2019年に日本初となるCLTの賃貸住宅商品を発売。以来、CLTを利用した戸建賃貸住宅や郵便局などを手がけてきた。技術開発部の岡本修司次長は「今年度は250㎥と現状ではまだ使用量も実績も少ない。目標は2028年までと設定したが、早期に約8倍の年間2000㎥(約20棟)を使える施工体制を構築し、新たな商品開発にも取り組んでいきたい」と説明した。10月からは、現在販売中のCLT賃貸住宅商品「Forterb(フォルターブ)」「ForterbⅢ」の2商品に太陽光パネルを搭載した「CLT DK-ZEH」の販売を開始。脱炭素社会実現への貢献と、余剰売電による収入経営をオーナーに提案する。
同社は、性能アップと省力化のため独自のCLT工法を開発してきた。オリジナル金物を独自開発し、一般的なCLT工法に用いられるビス留め仕様ではなく、ピンを差し込むドリフトピン仕様にし、接合部の高い強度と変形性能を実現。耐震性を高めるだけでなく、現場での作業時間を大幅に短縮可能にした。また、躯体を耐火被覆材ですべて覆い、耐火性をアップ。火災保険料で鉄筋コンクリート造と同じ等級が適用されるようにした。現在は主に建築物の壁面にCLTを使用しているが、「共同住宅の共用部分のあらわしなどにも使い、木造の良さを普及していきたいと考えている」(岡本次長)。同社は社内にCLT専門の部署を設置。新たな仕様や、非住宅分野へのさらなる展開を含め、研究をさらに進めていく。
CLTパネルの製造・加工は工場で行われるため、鉄筋コンクリート造の建物と比べて現場施工が少なくなり、工期も自社調べでは約25%減になっているという。同社が手がける建築物の約9割を占める鉄筋コンクリート造賃貸住宅をCLTへとシフトしていくことは、人手不足対策にもつながる。ロードマップでは、今後の安定的な施工体制の構築に向けて、大工の教育にも取り組むことも目標に掲げている。CLTは官民による国内活用促進が行われ、年々竣工件数は右肩上がりとなっているが、価格面において割高であることが普及の課題となっている。同社は「さらに普及するために、省力化やコスト面、仕様など工夫して変える部分がある」(岡本次長)と、鉄筋コンクリート造同等以下の価格を目指し、独自にコストダウンに取り組む方針だ。
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