2024.10.10

中央住宅、斜め頬杖柱で実現した跳ね出しバルコニーが特徴

狭小2階建ての新たな形「フレーベスト成増・和光」

埼玉県和光市の分譲住宅「フレーベスト成増・和光」で都市部の新たな2階建ての形を提案した。斜め頬杖柱を採用し、跳ね出しのバルコニーを実現。約27坪と限られた敷地での豊かな空間作りが奏功し、全3棟を完売した。

ポラスグループの中央住宅が、埼玉県和光市内の「フレーベスト成増・和光」で新たな2階建て分譲住宅の形を示した。成増駅から徒歩9分の駐車場だった敷地を3分割し、各87~89㎡に区分け。従来同社が手がける100㎡以上の土地と違い、限られた空間であることから「外部で庭のような空間を作るのは非常に難しい。構造を工夫して、外部空間を楽しむための仕掛けをし、『狭小2階』という新しい分野の商品とした」(戸建分譲設計本部 設計一部野村壮一郎部長)。

プラン2の2階リビング。掃き出し窓と勾配天井を合わせて屋外と屋内をつなげ、心地のいい空間を実現
各棟の斜め頬杖柱。精密な構造計算により、約2mのオーバーハングを実現

庭を確保できない分、テーマとしたのが2階バルコニーの充実だ。バルコニーの空間をできるだけ確保するため、斜め頬杖柱を採用。通常の木造在来工法では跳ね出し幅は90㎝が限界だが、精密な計算、シミュレーションで安全性を検証することにより、約2mのオーバーハングを実現し、採光とプライバシーを両立させたバルコニー空間を作り上げた。プラン1は、2階の屋根付きのインナーバルコニーと、浴室・洗面室、主寝室がつながるスマートな動線が特徴。家事の便利さはもちろん、家庭用サウナを楽しむ人にも適している。プラン2は、2階に広々としたリビングを配し、窓の先をガーデンバルコニーとした。大きな掃き出し窓と檜の木目が美しい勾配天井を合わせることで屋内と屋外を自然につなげ、開放的な空間を実現。バルコニーは高い壁で外の目線を防ぎつつ、日差しも取り込めるため、植物を育てたり、アウトドア体験を楽しんだりできる。プラン3は、広々としたバルコニーにウッドデッキを敷き、グランピング空間を意識。バルコニーとつながる主寝室には縁側を作り、寛ぎの空間を演出した。3邸ともモダンなインテリアにコーディネートし、家具も含めて販売した。

価格は7190万~7450万。同じエリアの分譲住宅、マンションと比べやや高めの値段設定だが、8月末から販売開始し、3週間で全3棟契約となった。「過去に試験的に浦和、大宮駅から徒歩10分内で分譲住宅を手がけたことがあったが、どうしても建物が小さくなるので販売に苦労した。(狭小2階が)今回の例でうまくいったため、さいたま市の中心部で再び展開していく計画だ」と野村部長。好立地の狭小分譲住宅に再挑戦するとともに、今回成功した斜め頬杖柱の技術や2階をリビングとする逆転プランも他に応用させていく考えだ。