太陽光発電パネルのリサイクルを義務化へ
罰則なども含め年内に具体策、法案提出へ
太陽光発電パネルのリサイクル義務化に向けた動きが始まった。経済産業省、環境省の審議会で検討会が始まったもので、来年の法案提出を予定している。
経済産業省と環境省が太陽光発電パネルのリサイクル義務化に向けて検討をスタートした。9月13日、産業構造審議会 イノベーション・環境分科会 資源循環経済小委員会 太陽光発電設備リサイクルワーキンググループ(座長:大和田秀二早稲田大学理工学術院名誉教授)と、中央審議会 循環型社会部会 太陽光発電設備リサイクル制度小委員会(委員長:高村 ゆかり東京大学未来ビジョン研究センター教授)の第1回合同会議が開催された。今後、具体策を年内にもとりまとめ法案を提出したい考えだ。
2050年カーボンニュートラルの実現に向け再生可能エネルギーの積極的な導入が進められている。国は、再生可能エネルギーについて、地域共生を前提に国民負担の抑制を図りながら、主力電源として最大限の導入拡大に取り組むとしている。その大きな柱となるのが太陽光発電だ。
太陽光発電は、2012年のFIT制度開始をきっかけに拡大、発電電力量は2011年の48億kWhから2022年には926億kWhに拡大、2030年には1290億~1460億kWhが見込まれている。
ただ、その導入量は2012~2015年が9GW前後であったのに対し、2016年以降は5GW前後で推移している。その導入拡大の課題の一つとして挙げられるのが「使用済太陽光パネルへの対応」だ。
両省の資料によると、太陽光パネルの排出量は2030年代半ばから増加し、2040年代初頭のピーク時には最大50万t/年程度にまで拡大すると推計され、自動車や家電4品目の現在の処理量と同程度の排出量が見込まれている。導入拡大を進めていく上で今から廃棄・リサイクルが実施される制度整備が求められている。
こうしたなか環境省・経済産業省は2023年4月に有識者検討会を立ち上げ、今年1月に中間とりまとめを公表した。このなかで「使用可能なパネルが廃棄されずに発電事業者によって長期活用されることが必要」、「排出のピークに向けて再生資源の市場形成が必要」といった課題を指摘、基本的方向性として「地域の実情を踏まえたエリア単位での効率的な廃棄・リサイクルの実現を前提としつつ、全国規模の枠組みを構築する」ことを打ち出した。同時に、今後の対応について「全体としてリサイクル、適正処理等の費用が確保される仕組み」や、「発電事業者等の責任による処理を原則とし、万が一、事業終了後に太陽光発電設備が放置された場合の対応に関する関係法令等を踏まえた事業形態や設置形態ごとの整理」などを引き続き検討するとした。
この中間とりまとめを踏まえ、今回の会議では、ライフサイクル全体の各プレイヤーが太陽光パネルを適切に処理できるよう、モノ・費用・情報の3点から制度的な検討を進める。具体的には、リサイクル費用の負担者など捻出方法、また、太陽光発電パネルを放置した場合の罰則などの検討を進める。年内には具体策をまとめ、来年の国会に法案を提出したい考えだ。
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