大東建託、自社再エネ100%に向け、朝来発電所を稼働
脱炭素社会実現のため、2050年までのエネルギー事業ロードマップを公開
脱炭素社会実現のためのエネルギー事業を推進している。2040年までの再エネ100%達成を目指し、朝来バイオマス発電所稼働を開始。30年までに、新築供給するすべての賃貸住宅をZEH・LCCM住宅にするとした。
大東建託が、脱炭素社会実現のためのエネルギー事業を推進している。このほど事業説明会を開き、2050年までのロードマップを公開。2040年までの再生エネルギー100%達成、2030年までに新築供給するすべての賃貸住宅を100%ZEH・LCCM化することを目標に掲げた。技術開発部 加藤富美夫部長は、「賃貸住宅の業界ナンバーワンとして、環境のことを考えながら賃貸住宅を供給していくのが我々の役割」と語った。
1つは、再エネ100%「RE100」の取り組みだ。RE100とは、「Renewable Energy(再生可能エネルギー)100%」の略で、企業が事業活動において使用する電力を100%再エネで賄うことを目指す国際的な取り組み。同社は、19年に取り組み加盟企業となった。一般的には再エネ電力を市場から調達するが、40年までに自社施設からの再エネ発電事業運営を目指す。そのために、23年7月に兵庫県の「朝来バイオマス発電所」を事業譲渡により取得。「大東バイオエナジー」を設立し、今年4月から発電所の稼働を開始した。国内間伐材などを燃料にし、24時間安定した発電が可能で、西日本の主要3社274事業所に供給している。現在、東日本の事業所に電力を供給するための新たな発電所を新規、既存の発電所を含め検討中だという。また、ZEH賃貸集合住宅の再エネJクレジットを利用し、現場仮設電気の再エネ化も始めている。
30年に新築・既存合計年間8万戸の
ZEH賃貸住宅の供給へ
賃貸住宅のZEH・LCCM化も推進する。30年度までに新築供給するすべての賃貸住宅を100%ZEH・LCCM賃貸集合住宅とするとともに、25年からは、既存賃貸住宅の省エネリフォームも本格化し、30年に新築・既存合計で年間8万戸のZEH賃貸住宅の供給体制を目指す。同社は17年に日本初となるZEH賃貸住宅の供与を開始。徐々に戸数は増えているが、24年度の賃貸集合住宅供給戸数のうち、ZEH・LCCM化した住宅は1万2586戸で、全体の30%にとどまっている。この数値を30年には、2万8368戸、全体の60%まで引き上げる計画を立てる。
新築はすべてZEH化した上で供給し、増やしていくことが可能だが、問題となるのは既存の賃貸住宅だ。断熱性能を上げるなど、既存住宅をZEH化するためのリフォームにはコストがかかるため、オーナーをどう説得していくかが課題となる。
加藤部長は「オーナーの方々に温暖化対策に対応した建物の資産価値を説明していくととともに、どうやったら安く合理的にリフォームができるか提示しなければならない。今年度から来年初めにかけて効率的なモデルを作り、広げていきたい」とした。併せて、「脱炭素に取り組む住宅の表示の仕方を確立したい。他社と共同し、新築・既存かかわらず『みえる化』を進めていければ、底上げになる」と業界全体での標準表示を提案した。
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