TOTO、国内水回り事業を強化
リモデルに注力し需要を徹底喚起
2024年4月から中・長期経営計画のSTAGE2がスタートしている。
リモデル分野の需要を徹底喚起し、主力の水回り事業をさらに強化していく方針だ。
TOTOは、「社会・地球環境への貢献」、「きれいで快適・健康な暮らしの実現」を2030年までの企業目標とし、10ヵ年にわたる中・長期経営計画「TOTO WILL2030」に21年度から取り組んでいる。最終年度となる2030年度の目標は売上高1兆円以上、営業利益1200億円以上だ。
21~23年度の「STAGE1」がこの春に終了し、4月から新たに「STAGE2」がスタートした。「STAGE1」では、23年度に売上高6900億円以上、営業利益600億円以上の達成を掲げていた。実際の23年度の業績は、売上高7023億円(前年度比0、2%増)、営業利益428億円(同12、9%減)であり、営業利益に関しては目標が未達となった。
一方、23年度の業績をセグメント別に見ると、主力の住設事業、特に、国内での業績が好調で、日本住設事業は売上高4731億円(同2、2%増)、営業利益223億円(同14、7%増)の増収増益となった。好調な業績を支えた要因が、住宅領域でのリモデル分野の取り組みだ。
リモデルとは、TOTO、大建工業、YKK APのTDY3社が提唱する、顧客の新たな生活文化の創造までをサポートする住宅改修のこと。TOTOでは、単なる設備機器の交換や改修ではなく、リフォームの一歩先を行く「顧客の困ったをよかったに変える」ものとして取り組んでいる。
同社は、93年に「リモデル宣言」を実施し、業界の中で先駆けて既存住宅改修を進めてきた。以降、03年に「新リモデル宣言」、17年に「リモデルあんしん宣言」を発信し、顧客が安心してリモデルに取り組める体制づくりを行っている。
近年、国内の新築住宅着工戸数は減少傾向が続いており、市況は厳しさを増している。こうしたなか、既存住宅改修は住宅設備メーカーが事業を継続・拡大していくための重要な市場の一つになっている。
日本住設事業の売上高の内訳を見ると、リモデルが3299億円(同4、3%増)、新築が1432億円(同2、5%減)で、比率は7:3となっている。「リモデルによって、最も重視すべき住宅分野の業績が伸長したことは喜ばしい。リモデルは厳しい市場環境を戦い抜くための〝光〟と捉えている」(販売統括本部 商品営業推進部・鈴木雅大 部長)。
中計折り返しの「STAGE2」
リモデルをさらに強化
4月からスタートした「STAGE2」では、リモデル分野の取り組みをさらに強化していく方針だ。
従来、水回り設備は故障を機に買い替えることが一般的だった。しかし、コロナ禍で在宅時間が増加し、暮らしを見直す動きが加速。衛生ニーズの高まりや利用頻度の増加などによって、キッチンや浴室などについても〝気づき〟が増え、理想の暮らしを実現するために買い替えを検討する人が増えた。いわゆるコロナ特需だ。しかし、コロナ禍が収束すると、住宅内部への消費マインドは次第に失速していった。
同社は、リモデルによってこのマインドを再び呼び起こしたい考えだ。そのための施策として、顧客が「リモデルしたい」と思うような製品を供給するとしており、24年8月に水回りの新商品を一斉発売する。
その筆頭が、システムバスルームのフラッグシップ商品「SYNLA(シンラ)」のフルモデルチェンジだ。
6年振りとなる今回のモデルチェンジのコンセプトは、「上質をつむぐ。心をほどく」。同社によると、近年、バスルームに対するニーズが多様化しており、「リラックス・リフレッシュしたい」というニーズが強まっているという。こうしたニーズを踏まえ、新「SYNLA」では各アイテムの心地よさや上質感に着目した。例えば、「コンフォートウェーブシャワー」には、ウルトラファインバブルを含むミスト吐水が可能な「ナチュラルケアミスト」モードを追加した。
また、見た目と踏み心地に「やわらかさ」を持たせようと、「お掃除ラクラクほっカラリ床」のパターンとカラーを全面刷新。織物のような質感の「布調」と、天然石をモチーフにした「石調」の2パターンに各5色を用意した。加えて、壁柄には凹凸やツヤのある新柄を10柄追加。浴槽カラーにもインテリアトレンドのブラウン系カラーである「エレノアマローネ」を追加した。
ただ、モノの供給だけでは需要喚起にも限界があるため、今後は「TOTOリモデルクラブ」の会員との連携をさらに強化しながら取り組みを進めていくという。「TOTOリモデルクラブ」とは、同社が構築している全国5000店舗以上のリフォーム工事会社によるネットワーク。このネットワークを活用し、リモデル需要のさらなる喚起を進める。
また、「STAGE2」ではデジタルを活用した販売活動の強化も行う。顧客に同社ホームページからマイページ登録をしてもらい、どういった商品に関心があるかなどの情報入力を促す。これを行った上でショールームに来店してもらうことで、データに基づいたスムーズな商品提案が可能になり、顧客満足度の向上につながることを期待する。
こうした施策により、「STAGE2」では26年度に売上高8500億円以上、営業利益850億円以上の達成を目指す。
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