2024.7.18

ポラスグループ、23年度決算は15期ぶり減収減益も注文住宅数は4年連続600棟超え

24年度はプレカット非住宅木造の増加に期待

2024年3月期決算は減収減益となった。減収減益となったのは09年3月期以来15期ぶり。地域密着型の営業展開で分譲、注文住宅ともに契約棟数は前年度を上回ったが、資材高騰や工期、販売期間の長期化などが影響し、粗利率が低下した。

23年度(24年3月期)の連結業績は、売上高2835億9400万円(前年度比8.6%減)、経常利益195億1600万円(同39.0%減)の減収減益となった。前年度まで売上高は7期連続過去最高を更新し、その流れが止まった形だが、ポラス・中内晃次郎社長は「コロナ禍における2年間の業績が実力以上にあった。本来の我々の生産性からいえば妥当な推移とみている」との言葉通り、コロナ禍の影響が出ていない3期前に比べては増収・増益となっている。物価上昇や住宅への消費行動が変化する厳しい状況の中でも、地域密着型のビジネスモデルが奏功し、分譲、注文住宅ともに契約棟数は前年を上回ったものの、「販売期間や工期が延びて、粗利率が落ちた」と説明した。24年度も引き続き地域密着型の戦略を推進し、売上高3000億円(同5.8%増)、経常利益220億円(同12.7%増)を計画する。

ポラス・中内晃次郎社長

体感すまいパークの集客が奏功
注文契約棟数4年連続600棟超え

主力となる戸建分譲事業は、ポラスグループ全体の売上高が1285億4900万(同2.4%増)の過去最高となった一方、経常利益は71億3000万(同46.8%減)と減益した。

「yoridokoro上尾」や「B/N戸田公園」など各地域の特徴、魅力にあった街づくりが評価され、契約棟数は2554棟(同5.1%増)と前2期で減少していた数字が反転した。売上棟数は2752棟(同1.4%減)ではあるが、一棟当たり単価がアップしたことが売上高増につながった。

ポラスグループの連結業績/契約棟数

25年3月期は、契約棟数2910棟(同13.9%増)、売上棟数2843棟(同3.3%増)を計画する。

グッドデザイン賞9点受賞、ポラテック「大谷口の家」が世界3大デザイン賞のInternational Design Awards金賞を受賞するなど、商品力の高さも証明した。中央住宅・品川典久社長は「他社の分譲との違いは商品力だが、その良さがまだ営業を通じてお客様に完全に理解されていない。ポラスの物件が、トータルでみれば安いと思ってもらいたい」と、営業力強化を課題に挙げた。沿線別の売り上げをみると、東武伊勢崎、スカイツリーラインエリアは横ばい、最近注力する東武東上線、西武線エリアは316棟と前年比48棟増加、京王線は328棟で同66棟増加と成果が出てきた。品川社長は「既存エリアのシェアを伸ばすとともに、今後も新しい沿線に力を入れていく」。さらに、まだ伸びしろのある都内の足立、葛飾、江戸川区にも力を入れるとした。一方、マンション分譲事業では、契約戸数428戸(同29.7%増)、売上戸数309戸(同14.6%減)となった。

注文住宅では、23年9月に埼玉県朝霞市に5か所目となる単独展示場「体感すまいパーク」を開設。全5施設での集客が前年比65%増と伸びたことに加え、土地探しから建築までのワンストップ提案が奏功し、契約棟数は640棟(同0.8%増)、売上棟数640棟(同6.6%減)となった。契約棟数600棟超えは4年連続である。

前年に続き、不動産売買仲介事業は堅調で売買仲介手数料は35億9200万円(同2.1%増)と過去最高を更新した。地域密着型の営業展開と取引平均価格アップが影響した。また、買取再販専任部署の設立もあり、中古再生契約棟数も222棟と前年比25%の伸びで過去最高となった。新築価格が高騰する中で、保証付き中古再生物件の需要が増加した。

リフォーム事業も好調が続く。契約者向けイベントを年9回開催したことで、リフォーム受注が伸長。補助金提案による太陽光発電と蓄電池のセット販売数も前年比12%増と増加し、リフォーム受注高は105億600万円と2年連続の100億円超えを達成した。24年度はさらなる伸びを見据え、受注高129億5200万円と計画する。賃貸事業では、仲介件数が増加し、仲介手数料は4億8300万円と過去最高を更新した。

許容応力度計算とプレカット木材のセット販売が増加
非住宅売上坪数の大幅伸長を期待

プレカット事業は、外販売上棟数3万7572棟で、生産坪数は125万坪となった。25年から施行される4号特例縮小を背景に、許容応力度計算とプレカット木材のセット販売棟数が前年比13.8%増と伸びた。また、非住宅の売上坪数は9万7269坪と前年比10%増、プレカット生産坪数全体に占める非住宅の割合は22年度の7.4%から8.2%に拡大した。24年度の売上坪数は16万3160坪と計画。中内社長は「非住宅は鉄骨造からの置き換え需要が高まっており、かなりチャレンジングな計画を立てた」と、非住宅木造建築物の伸びしろに期待した。