期待の窓リノベ2024事業

外窓の補助拡大、断熱ドアの追加で市場に盛り上がりか

いよいよ「先進的窓リノベ2024事業」の交付申請受付が始まった。2023年度にスタートした同事業は、その補助額の大きさから市場に大きなインパクトを与えた。24年度は外窓の補助額が増えるほか、窓改修と同時に行うドア改修にも補助が付く。こうした補助金の改正がどのような影響をもたらすのか―23年度の各社の動きと、今後の方向性について追っていく。

2023年度に行われた3省連携の省エネ住宅支援事業のうち、経済産業省と環境省による「先進的窓リノベ事業」は、先進的な断熱性能を持つ窓への交換を重点的に支援するもの。総予算額1000億円で、戸建住宅・集合住宅の窓の断熱改修に対して戸当たり最大200万円という補助額の大きさから、サッシメーカー各社に問い合わせや受注が相次ぐ騒ぎとなった。

この先進的窓リノベ事業が、総予算額1350億円に拡大し24年度も継続される。24年度はカバー工法の取替窓への補助額が大きくなり、窓改修との同一契約で断熱ドア改修にも補助が付く。

各社は開口部商品の更なる販売拡大を目指して、新商品ラインアップや訴求に取り組む。

開口部断熱と省エネの認識が進む
昨年効果を実感した人からの波及も

YKK APは、「水回り製品に比べ改修後の変化が視覚的に分かりにくく説明が必要な窓改修を取り扱うリフォーム業者は限られていたが、今回の大型補助金はエンドユーザーの関心も高く、事業者側も取り組まざるを得なかったのではないか」(リノベーション事業部 事業企画部・米山浩志部長)と、補助事業がプロユーザーの開口部改修の意識を高める後押しになったとする。一方で、家電量販店やホームセンターでの販売も多かったとみており、エンドユーザーが窓改修を行いたいときにどこへ行けばいいかわからないという状況が如実に表れたという。こうしたエンドユーザーの意識の高まりが受注につながり「かつての住宅エコポイントの勢いを超える、窓リフォームの第二次革命」(米山部長)と、改めて補助金の影響力を感じたという。

過去に窓改修へ大きなインパクトをもたらした補助事業として、10年に開始した住宅エコポイント事業が挙げられるが、住宅エコポイント事業が内窓の存在を市場に広めるきっかけになったのに対し、今回の補助事業は性能値が高い窓により大きな補助額がついているため、性能面で変化が起きたとする。また、同社が先進的窓リノベ事業を活用して窓改修を行ったエンドユーザーを対象に実施した調査によると、補助金を真っ先に使用した人は30~40代の若年層がおよそ半分を占めたそうで、「通常、リフォームはシニア層が多いため想定外の結果。築10年程度でも住宅環境に不満を感じている人が多いということだろう」(米山部長)と、若年層の関心の高さが顕著だ。

LIXILは先進的窓リノベ事業について、プロユーザーに対しては昨年から研修などで周知を進めてきたこともあり、浸透度は高くなっているという。24年度の窓リノベ事業の継続についても、かなり早い段階からアナウンスをできていたとする。エンドユーザーについては関心が高い人は情報をキャッチしているが、そうではない人も多く課題感が残る。ただ、補助事業によって開口部の断熱改修が省エネにつながるという認識が全体的に高くなったとし、より一般の人への認知度を高める方法を検討していきたいとした。

一方で、「昨年、窓をリフォームしたエンドユーザーから、今年も補助事業を使って改修を行いたいという引き合いが来ていると事業者から聞いている」(営業本部リフォーム推進部・渋谷和徳部長)と、断熱改修の高い満足度からリピートで受注が入ることもあるようだ。

三協立山によると、ここ数年でエンドユーザーの開口部の断熱に対する関心事項に変化があったという。約10年前に住宅エコポイントで内窓設置が拡大した際は、窓際の寒さ対策や騒音対策などの悩みごとを解決する目的での設置が多かったが、「ここ数年は、コロナ禍で在宅時間が増加したことに加え、光熱費の高騰が相まって、住宅の省エネ化に対するエンドユーザーの関心が高い」(住宅商品部住宅商品企画課・三浦隆弘 課長)と、住むうえでの経済的な優位性が、開口部の断熱改修の需要喚起につながっているようだ。そこへ「先進的窓リノベ事業」の創設により、イニシャルコスト削減ができるということで、一気に窓改修が進んだとみられる。

昨年の補助事業で内窓を設置して効果を実感した人が、自主的に室外と室内の温度差を測定して、知り合いに紹介する動きもあるといい、24年度も採用拡大への期待は大きい。

新規参入事業者も増える見通し
性能向上+αの商品力がカギとなる

YKK APの23年度の実績は、内窓が前年度比2.7倍の売上だった。特にLow—Eガラスのガス入りの構成比が、補助事業の前後で内窓全体の30%から85%まで伸長したとし、性能の高い窓の需要が喚起されている。カバー工法の取替窓は、前年度比1.5倍。取替窓については10年ごろから市場拡大に向けた取り組みを進めており、施主の改修予算などを考慮しながら、ベランダや外に出入りする掃き出し窓や、既存の窓の劣化が激しい場合に提案する。

24年度の動きについては、「2月頃から緩やかに受注が上がってきてはいるが、事業者、エンドユーザーともに昨年の動きをみて腰を据えている。特に、エンドユーザーは相見積もりを行う人が増えたようで、施工店の見積もり件数に対する受注率は少し下がっている」(米山部長)そうだ。今後は、23年のトレンドを維持しながらも一時期に集中するのではなく1年間の期間を継続して高い水準での受注を期待する。

また、カバー工法の取替窓への補助金が大きくなったことから、カバー工法の商品をどう提案していくかがポイントとした。直近では24年2月に「マドリモ 断熱窓 戸建用」樹脂窓 引違い窓 ハイブリッド専用枠を発売。樹脂窓改修において、見込みや見付けが大きく既存住宅の壁厚におさまらない、縁側などの大きな横幅に対応できないなどの課題を解決した商品だが、事業者から待望されていたといい、発売日にはかなりの量を発注することになった。同社は樹脂窓が好調だが、カバー工法においても複合窓と樹脂窓で9:1だった構成比が補助金により5:5になったという。

YKK APが今年2月に発売した「マドリモ 断熱窓 戸建用」樹脂窓 引違い窓 ハイブリッド専用枠。施工性のよさで事業者から人気を集めている

内窓「プラマードU」は、24年1月に日本板硝子ビルディングプロダクツの真空ガラス「スペーシアクール」と組み合わせてSSグレードを達成する商品を投入した。さらに4月にはパナソニック ハウジングソリューションズの真空断熱ガラス「Glavenir」を使用し、ガラス入り完成品で提供できるSSグレードの商品を発売。施工店の使いやすさを向上し、販売拡大を狙う。

一方で、開口部に関しては商品があっても施工店が足りないと市場流通ができないことから、開口部改修を行える施工店を増やすための取り組みも必須だとする。同社は、昨年を通して認定制度や練習プログラムを構築、展開を始めている。給湯省エネ事業と併せて窓改修の提案を行う地方のガス会社なども出てきているといい、取り扱い業者の幅広さが目立つ。

LIXILの窓の売上高は、23年度は昨年度比約3倍となった。取替窓は特に前年からの伸び率は大きかったという。

同社の内窓「インプラス」は、Low—E複層のガスなしガラスで先進的窓リノベ事業Sグレードの性能を実現できることが強み。性能が高く補助率も高いSグレードの商品を比較的求めやすい価格で提供する。また、特許取得のダストバリア機能により樹脂窓でもホコリが付きにくい。開閉しやすいアルミレールや幅広いカラーバリエーションなどその他の選択肢も豊富だ。

取替窓の「リプラス」は、アルミと樹脂のハイブリッドフレームによるガラス面積の最大化や、トリプルガラス仕様でも35㎜と小さい段差で、掃き出し窓などに採用した場合にも出入りがしやすいことがポイント。さらに、24年2月から販売を行っている新商品「リプラス 居室仕様TWタイプ」は、リプラスシリーズ引違い窓で最高グレードの断熱性能1.5W/㎡・Kの熱貫流率でありながら、従来品から上代価格を5%ダウンしている。

これまでリフォームは水回りや外壁が主であり、窓改修を行っていなかった事業者も多かったことから、昨年、ボランタリーチェーン「LIXILリフォームネット」で導入していた「窓マイスター制度」をブラッシュアップ。事業者が住宅の状況や悩みごとに適切な窓リフォームを提案できるよう取り組みを進めており、将来的には、1万人の登録を目指している。

エンドユーザーに対しても、窓の種類や窓数を選ぶことで材工の参考価格、補助額や省エネ効果などをまとめて確認できるツールの用意や、今後はセミナーなども開催して断熱改修の認知度の向上を図る。

さらに同社のウォーターテクノロジー部門と協力して、水回り製品と併せた提案も行っていきたいとし、営業部同士の連携や事業者向けの水回り製品の見積もりシステムに「インプラス」を組み込むなど事業者が提案を行いやすくなるような工夫をしている。

三協立山の後付樹脂内窓「プラメイクEⅡ」、「プラメイク」の23年6月~11月の累計売上高は、前年同期比約3.9倍。24年度については、先進的窓リノベ2024事業の補助金の予算額が前年度比約1.3倍となったことを受けて、内窓の受注も同程度の伸びを見通す。24年度に向けては「プラメイクEⅡ」に安全合わせガラスとフロスト調ガラス、格子付きスリガラスを追加し、商品の拡充を行った。フロスト調ガラスと格子付きスリガラスについては、和障子からの交換を見込んでの用意である。数は多くないが、様々な部屋への対応力を高めることがエンドユーザーの購入意欲につながるとする。

三協立山の後付樹脂内窓「プラメイクEⅡ」。窓改修を気軽に行える商品として販売に力を入れる

内窓は、金額面や施工時間の短さで最も気軽にできる窓改修であり人気が高い。一方で、昔から内窓の設置が多かった北陸や北海道に比べ、内窓に馴染みのない関東地方などでは特に2回窓を開けるのは面倒と感じるという声もある。そのため頻繁に開閉を行う窓については、カバー工法による窓交換の「ノバリスサッシ」を採用するケースも多い。「ノバリスサッシ」は内窓の設置増加の影響を受けて、23年6~11月の売上は前年同期比約1.5倍になっている。23年7月に高断熱仕様を追加し、商品拡充した。23年10月から建築物の改修において、有資格者によるアスベストの事前調査が求められるようになったことから、外壁を切断して行う窓の取り替えに対して、これまでよりも費用や時間を要するようになった。そのため、窓を取り替える場合は、外壁に手を加えるはつり工法よりもカバー工法を積極的に推進していく。

また、23年度は先進的窓リノベ事業の補助金が早期に底をつくのではないかとの不安があり、窓改修に手を付けなかったリフォーム会社も多いという。そうした会社に対して昨年末頃から働きかけを行い、新規参入者を増やすことで、市場の活性化を狙っている。エンドユーザーに対しては、内窓とは何かを知らない人、窓についてある程度の知識を持つ人に対して、チラシを数パターン製作している。例えば、内窓を知らない人に向けては、内窓を設置する効果を大きく取り上げる一方で、窓の知識を持つ人には補助金の説明を行う。

生産体制については、加工ラインの増設や材料の確保などにより生産能力を強化し、需要の増加に備えている。

ニュージーランドに保有する自社で山林経営を行う森林から採れた「ニュージーパイン」で内装建材などを製造、販売するウッドワンも、先進的窓リノベ事業による内窓への注目度の高さを感じている。

同社はニュージーパインを使用した、日本初のFSCⓇの森林認証製品となる無垢の木の内窓「MOKUサッシ」を11年5月から販売している。断熱性の高さと、本物の木を使用しているという素材感やあたたかみを持つことが特長で、表面の浮造り加工により木目の凹凸を味わえる。木材の特性上、静電気が発生しにくいため、ほこりも付着しにくい。同社の他の内装建材と合わせて、トータルコーディネートができることもポイントだ。

当初はサッシルートでの販売商品がなかったことなどを背景に、商流の確保が難しく販売に苦しんだが、認知度の高まりとともに木建ルートでも取り扱われるようになり、公共施設の断熱改修で使用されるなど徐々に存在感を強めている。一方で、同社が木製内窓を販売していることがまだまだ知られていない部分もある。先進的窓リノベ事業のスタートを受けて、展示会でも「MOKUサッシ」の大々的なアピールを始めたが、「当社が内窓をつくっていることを知らなかった工務店の方からは、知っていたら施主に勧められたのにという声もいただいている。木製の内窓を扱っている会社はあまりないので、知ってもらった人からは好感を得られているのではないか」(戦略統括本部 サステナビリティ推進室室長兼コーポレートコミュニケーション室 荒川靖彦室長)と、商品の認知度を向上する余地があるとする。

補助事業の効果としては、23年度の販売量が前年度比約2倍以上となった。こうした状況を受け、23年6月よりガラスのラインアップにアルゴンガス入りLow—E複層ガラス (遮熱タイプ・断熱タイプ)を追加、先進的窓リノベ事業のSグレードに対応した。また、特設サイトも開設し、商品の認知度向上と、補助金の周知を図る。24年度も現在のペースで行けば、前年度比を上回る販売量になるのではないかとみる。「MOKUサッシ」については、新商品の投入も検討している。

ウッドワンの木製内窓「MOKUサッシ」。断熱性の高さや本物の木を使った素材感などを強みに認知度向上を図る

ガラスメーカーの日本板硝子ビルディングプロダクツは、「先進的窓リノベ事業が24年度も継続するということで、非常に強い追い風を感じている。3月末現在、昨年ほどの急激な受注量の増加は見られないが、少しずつ引き合いは増えており、今後の需要増加に対して安定的な供給をすべく準備をしている」(営業部営業企画グループ・川﨑愼司係長)と態勢を整える。生産体制の増強などはこれまでも継続的に行ってきており、そうした取組みの効果も出てきているそうだ。

同社が力を入れるのが真空ガラス「スペーシア」シリーズの販売だ。2枚のガラスの間に0・2㎜の真空層を設け、熱の伝導・対流を防ぎ、Low—E膜が放射を抑えることで高い断熱性能を実現する。厚さは6・2㎜と一枚ガラスとほぼ同じであり、サッシを換えずガラスだけを交換できる。

西側に面する窓など強い日射しが入る窓については、断熱性能に加え遮熱性が高い「スペーシアクール」も用意している。日射熱を51%カットし、冷房効果を高める。「スペーシアクール」は、夏の暑さが激化するなかで特に販売を伸ばしており、今後も需要を見込む。

「スペーシア」は取扱店制度を敷いているが、昨年から取扱店になりたいという問い合わせが増えており、補助事業の活用で事業拡大に繋げられた取扱店が多かったことで反響が広がったのではないかとする。取扱店に対しては、講習会なども行っており工務店への説明の仕方など、提案力の強化を図る。内窓のガラスに断熱性の高い「スペーシア」、「スペーシアクール」を使用した際にガラスが熱割れすることを防ぐため、施工時は保護キャップを室外側に向けて設置することや施工箇所についての注意喚起は、新規参入事業者が増えるなかで前年に引き続きチラシや講習会を通して徹底する。

サッシメーカーは先進的窓リノベ事業の波に乗り、販売拡大を続ける。同社もニーズを取り込めるよう準備をしている。昨年より、LIXILは、内窓「インプラス」に「スペーシアクール」を採用し、補助事業のSSグレードの対応を進めてきたが、新たにYKK APも内窓「プラマードU」に真空ガラス専用フレームを設定し、「スペーシアクール」と組み合わせてSSグレードをクリアできるようにした。このように、昨年度以上に同社のガラスが採用されやすい環境ができてきたとする。

一方で、内窓は場所によっては設置ができなかったり、掃除や開閉の手間を感じたりする人もいる。そうしたエンドユーザーに対しても、スペーシアの強みであるガラス交換のし易さを生かしたPRが可能である。「先進的窓リノベ事業はもちろん、3省連携補助事業のうち国土交通省の『子育てエコホーム支援事業』でもガラス交換に補助が出る。この機会に、より多くの方へ提案していきたい」(川﨑係長)。

「スペーシア」のガラス交換は、サッシに固定する際、シーリング材の代わりに取付け専用グレチャンが使える場合では、ガラス1枚あたり約30分と簡単に取り換えることができる。簡単に施工ができ、フロート板ガラスの約4倍の断熱性能を出せる強みを改めてアピールしていく。

日本板硝子の「スペーシア」は、サッシを換えずにガラスだけ交換ができ、フロート板ガラスの約4倍の断熱性能を持つ

高断熱ドアの新商品にも力
上位グレード対応商品の拡充が進む

24年度の先進的窓リノベ2024事業の大きな変更点のひとつが窓改修との同一契約による、ドアの断熱改修にも予算が付くことだ。

23年度は先進的窓リノベ事業とワンストップで申請できる「こどもエコすまい支援事業」を併用した玄関ドアの改修を推奨する動きもあったが、先進的窓リノベ2024事業にドア改修が組み込まれたことで、ドアの断熱改修にも拍車がかかる見通しだ。

こうしたなか、各社も新商品をラインアップするなど訴求を強める。

LIXILは、開口部の断熱改修という点では昨年度は窓の一極集中であったが、24年度は先進的窓リノベ事業にドア改修が追加されたことも踏まえ、高断熱ドアの改修にも注力をしていく。「一つの事業でドアまで提案できるようになったことは事業者側の負担減という部分で大きい。新築同等の断熱性能を持ったドアを既存住宅に設置できるという点についてもプロユーザーの方から共感を得られている」(渋谷部長)と、事業者に対しても提案を進めてもらっているとした。

リフォーム用高断熱ドア「リシェント」シリーズについては、23年11月にフラグシップ商品であるの「XEモデル」を発売、24年2月からは「勝手口断熱仕様」にトリプルガラスを設定し、補助事業のAグレードに対応したものを販売開始した。

LIXILはリフォーム用高断熱ドアのバリエーションを豊富に揃える。23年11月には、リフォーム用高断熱ドア「リシェント」に、フラッグシップ商品である「XEモデル」を拡充した

「XEモデル」については、リフォーム用に先んじて23年4月に新築用を発売しているが、子扉に機能を集約したことで可能となった今までにないデザインの斬新さから、想定以上の反響があったとしており、リフォーム用も一定数の需要はあるのではないかと見込んでいる。また、勝手口ドアでAグレードに対応しているのは、現時点で同社のみとし差別化要素として事業者への訴求を強める。

高断熱ドアに関しては、デザインにも力を入れており、「カラーバリエーションや採光の有無など商品ラインアップの幅広さは業界随一の自信がある」(渋谷部長)。今後はAグレードに対応する玄関ドアK2仕様の採光なしタイプのデザイン拡充も予定する。

三協立山は「窓の改修を行った際に一緒に断熱効果を高めたいと、補助事業の対象になっていなくてもドアの断熱改修を行うニーズがあった。窓改修との同時契約という制限はあるが、補助事業へのドア改修の追加は非常に好評」(三浦課長)だとする。

24年4月1日には、リフォーム商品「ノバリス 玄関ドア」に、ドア厚 60㎜の「高断熱仕様」を追加して発売、先進的窓リノベ2024事業のSグレード対象となる熱貫流率1・33W/㎡・Kを実現している。デザインは、シンプルでスタンダードなスリット採光デザインをはじめ、外観のテイストに合わせて選べる7デザインをラインアップ。カラーは浮造り調の木調色など5色を揃え、選択肢を増やした。

YKK APは、先進的窓リノベ事業に追加された断熱ドア改修の補助額は、ドアの補助金額としてかなり大きく、エンドユーザーの需要も大きいとみて、補助事業に対応する商品ラインアップの充実を急ぐ。同社は、カバー工法の改修ドアとして「ドアリモ」を展開しているが、SSグレード、Sグレードに対応した商品を持っておらず、戸建用で今年夏ごろの発売を目指している。

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23年度の先進的窓リノベ事業は、性能の高い窓に高い補助がつく点で、ガラスやサッシの販売構成比にも大きな影響を与えた。各社の商品ラインアップも、より性能の高いものを充実する方向へ進んだ。また、補助金の多さに加え、3省連携で提案できる特徴から提案の角度も様々だ。

一方で、先進的窓リノベ2024事業で、取替窓に対して補助額が大きくなったことへの影響は、取替窓の提案強化を進めようとする動きと、価格的にも施工時間でも気軽な内窓中心の需要が続くのではないかとの意見が混在する。また、「工務店などは応急処置的な内窓設置よりも、根本から住宅の断熱性能を向上することに関心がありそうだ」(YKK AP)など業態による断熱改修への意識の違いもあるようだ。

4年度の補助事業によって、市場はどのように変化するのか。今後も目が離せない。