2024.3.13

アエラホーム、耐震+制震でレジリエンス性を強化

日本制震システムのダンパーを標準採用へ

繰り返す地震への対策を強化するため、日本制震システムのオイルダンパー「MER‐System Cross Type」の導入を進めていく。6月から注文住宅「PRESTO」への標準搭載を検討している。

アエラホームは、レジリエンス住宅への取り組みとして、2023年から「災害に強い家づくり計画」を進めている。これは、災害発生前の対策と発生後の対策の両面から家づくりを行うもの。今後発生が予測されている南海トラフ地震や首都直下地震といった大規模災害の発生時にも、安全安心に住み続けられる住宅を提供できるようにする。

その一環として、日本制震システムのオイルダンパー「MER‐System Cross Type」を同社の注文住宅「PRESTO(プレスト)」に導入していくことを決めた。

同社はこれまで、独自工法の「アエラストロング工法」などを採用し、地震に強い住宅の提供を進めてきた。同工法は、在来工法と2×4工法を組み合わせたハイブリッド工法。建物下全てを耐圧版にするベタ基礎を採用しているほか、外周部の基礎幅を通常の1.5倍の180㎜に設定するといった工夫により、高い耐震性を確保している。

「MER‐System Cross Type」を取り付けた様子

しかし、2016年の熊本地震や先般の能登半島地震など、近年は大規模な地震が繰り返し発生することで多大な被害をもたらす地震災害が増えている。耐震性能の確保は基本的な地震対策のひとつだが、繰り返し揺れを受けることで住宅躯体にはダメージが蓄積し、その性能は次第に低下する。

そこで耐震性能に+αの付加価値として「制震」を組み合わせることで、地震の揺れを吸収し、躯体へのダメージを軽減することが求められている。

このほど導入を進めていくとした「MER‐System Cross Type」は、日本制震システムとヤマハモーターハイドロリックシステム(静岡県周智郡、山口晃治 代表取締役社長)が共同開発したオイルダンパーだ。ヤマハモーターハイドロリックシステムは、車やオートバイのサスペンションなど緩衝機器の開発、製造、販売を行っている。そのノウハウをオイルダンパーとして取り込んだ。

耐震性能をしっかりと確保した上で施工することで、微弱な揺れの段階から瞬時に揺れを減衰し、住宅躯体へのダメージを低減する。また、短周期から長周期までのあらゆる周期の地震に対応しており、共振現象(建物の揺れの周期と地震の揺れの周期が一致する現象)などを防止する。1棟当たり10本程度を建物の1階の外周部分に設置するため、間取りへの影響も少ない。

アエラホームでは現在、5月末までに受注した「PRESTO」に同ダンパーを追加費用無しで搭載するキャンペーンを実施している。キャンペーン終了後、6月からは標準採用することを検討している。同キャンペーンに加え、能登半島地震の影響も相まって、1月の同社への問い合わせは前年同月比で26%も増えたという。

アエラホーム企画開発部商品開発課の柄沢隆一課長は、「昨今の地震などの影響から、ここ数年で制震を取り入れた住宅づくりが加速している。真に安全な住宅を提供していくために、制震を当たり前にしていかなければならない」と今後も制震の普及に注力していく考えを示した。