古河電気工業/古河樹脂加工、結露滴下抑制シート「Drigrip」を開発
電材、建材、設備メーカーなどと協力して製品化へ
住宅を始めとする建築物で問題となっている「夏型結露」に対して、結露自体の抑制ではなく、生じた結露を滴下させないという新発想で、結露滴下抑制シート「Drigrip」を開発した。
地球温暖化などの理由で建物に発生する夏型結露が問題になっている。湿気が冬の結露と逆の動きをすることで、天井内や壁内に結露が生じて断熱材の腐敗やカビの原因となる可能性がある。また、住宅設備でも配電盤や空調ダクトなどで結露対策が求められているという。
こうしたなか、結露の課題に応える商品として、古河電気工業がグループ会社の古河樹脂加工と共同で開発したのが結露滴下抑制シート「Drigrip」だ。これまで、結露対策としては配電盤やダクトなどであれば、断熱材の厚肉化による温度差の低減などで結露の発生を抑制する措置が取られてきたが、施工スペースが限られている場所も多く、対策として限界があった。そこで、結露の発生を防ぐというこれまでの考え方から発想を転換し、結露が発生しても水分の滴下を抑えれば被害は起こらないという考えのもと、発生した結露を吸水し滴下を抑えるシートを開発した。発泡体と吸水性素材を組み合わせたシートで、発生した結露を吸水性素材が吸い込み、滴下させない。
使用を想定する場所としては、住宅や建築物の壁、天井、配電盤や空調ダクト、ふろ場やシンクなど広い範囲を視野に入れており、断熱材の厚みを増やすことなく結露トラブルに対応できるため、施工性の向上が期待できる。
![](https://htonline.sohjusha.co.jp/wp/wp-content/uploads/ht676-052.jpg)
室温25℃(湿度50~80%)の環境下で5℃の冷媒を流し、ダクトを露出した状態で設置した場合と、ダクトに厚さ4㎜の「Drigrip」を貼り付けた場合を比べた検証実験では、ダクトをむき出しにした条件では、開始5時間(湿度50%)頃に結露の滴下が起こったが、同製品を貼り付けた条件では滴下はほとんど起こらなかった。
「Drigrip」の技術を応用した商品展開へ
他社との共同開発も検討中
同社は、「近年の急激な温暖化が引き起こす結露の問題には対策が追い付いておらず、市場に可能性を見出した。今回の技術を基にダイレクトにお客様とつながって意見を反映しながら商品づくりを行っていければ」(AT・機能樹脂事業部門 機能樹脂エンジニアリング営業部・豊田寿也氏)としている。「Drigrip」単体での販売というよりも、技術を応用した商品展開に力を入れていきたい考えだ。
販売先は、工事店やサブコン、設備メーカーなどを中心に、これまで付き合いのなかった取引先にもコンタクトを取りたいとする。建材、電材、設備メーカーと共同での商品開発なども検討をしており、性能などの修正を加えながら形にしていく計画だ。
既に各社から問い合わせがあるとしており、共同での製品開発に踏み出しているものもあるという。
商品の発売は24年度以降を予定している。
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