大東建託、2×4用木材の安定調達へカナダに現地法人設立
製材量の減少、価格が不安定な市況に対応
2×4用木材を安定調達するための新会社、大東カナダトレーディング(加藤富美夫代表取締役社長)をカナダ、ブリティッシュコロンビア州バンクーバー市に設立し2024年1月15日より事業を開始した。
同社が年間供給する約4万戸の賃貸住宅のうち、約9割は木造2×4工法の建物であり、木材の多くはカナダから輸入している。年間の調達量は30万㎥強にのぼる。しかし近年、地球温暖化の影響によりカナダで発生する山火事や、虫害、伐採制限により、2×4工法に適しているとされるSPF材の供給量が減少している。2023年のカナダの山火事による焼失面積は近年で最も被害が大きく、1995年の2倍以上(日本の国土面積の約37%)が焼失した。カナダのSPF製材量は、2016年に約6000万㎥あったが、2022年には4500万㎥を下回っている。さらに、2000年以降は、新型コロナウイルス感染症の流行や北米の製材需要の増加により、製材品の価格が乱高下する不安定な市況が続いている。脱炭素社会の実現に向け、国産材活用を推進する国の政策の後押しもあり、一部、同社の2×4建築に国産材を活用する挑戦を始めているが、強度、価格、安定調達などの面で課題があり、今後も当面の間、SPF材が主力であることに変わりはない。
カナダでの木材の安定的な調達は、同社の事業継続に不可欠であることから今回、豊富な森林資源を持つカナダ、ブリティッシュコロンビア州の最大都市、バンクーバーにカナダ現地法人、大東カナダトレーディングを設立した。駐在員を1人置き、現地製材所との連携などを通じ、より迅速、正確に現地の情報を掴み、安定的かつ適正価格での木材調達につなげていく。
加藤社長は「当社は、商社を間に置かず、1994年からカナダの大手製材所と直接取り引きをしており、現在10数社と取り引きしている。決して現時点で調達が難しくなってきているということではなく、日本向けの最高品質のクラスの板材につけられるJグレードの木材を『まだまだ使ってください』という関係は続いている。ただ、先が見通しにくくなってきていることに対する懸念はある」と話す。
現状は、大東建託と、北米・欧州の製材所間で、見積依頼・発注、見積回答・物流を行っているが、設立により、大東建託と、北米・欧州の製材所の間に、新たに設立した大東カナダトレーディングが入ることで、よりスムーズな発注・物流、安定的かつ適正価格での木材調達の実現を目指す。
現地製材所との連携強化が可能となる現地法人の設立により、木材調達網を拡大・強化にもつながる。オーナーや入居者に安心・安全な建物を提供するため、木材デューデリジェンスへの対応強化も併せて実施し、すでに実現している持続可能な木材調達比率100%達成に引き続き取り組んでいく。
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