建築側も電力系統の最適化という視点を持つべき
エコワークス 代表取締役社長 小山 貴史 氏
2023年11月に開催された政府の第8回GX実行会議の席上で岸田総理は、「今後3年間で2兆円規模の支援策を講じ、暮らし関連での民間事業者の投資を呼び込む」と述べ、住宅の断熱改修、高効率給湯器や太陽光発電の設置などに関する支援を強化する方針を明らかにした。同会議において、住宅業界を代表してGXに関する取り組みを発表したエコワークスの小山貴史社長は、「ZEHから一歩進み、暮らしのゼロエネ化を達成していくためには、建築側も電力系統の最適化という視点を持つべき」と指摘する。その真意を聞いた。
太陽光発電を搭載することは電気代のお得な前払い
──2025年4月の省エネ基準の義務化に向けて、住宅業界の省エネ化に向けた機運がさらに高まっていますが。
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小山 貴史 氏
省エネ基準の義務化に向けた議論の中で色々と意見が出ましたが、今の状況を見ているとそれほど大きな混乱もなく義務化に踏み切れるのではないでしょうか。2030年までにZEHを標準化するという目標も前倒しにするべきではないかと考えています。
大手ハウスメーカーのZEH比率が7割程度で、中小工務店が1割というのが今の状況ですが、実はZEH率8割以上の中小工務店も約600社います。当社のZEH比率は97%にまで達しています。ちなみにLCCM住宅の比率も6割に達しています。
中小工務店でもZEHに取り組むことは決して難しくありません。構造躯体の断熱性能などについては、既にZEH水準に達している工務店も多いはずです。
なぜ大手ハウスメーカーと工務店でZEH比率に大きな差が出ているかというと、太陽光発電を搭載しているかどうかです。
太陽光発電を提案してしまうと、その分のコストが建物部分から削られてしまい、結果として利益が少なくなると考えている方々が多いのではないでしょうか。
当社では、太陽光発電がもたらす経済メリットを具体的に説明しながら、「電気代のお得な前払い」であると提案しています。
また、地球環境問題の基本から現在の世界的な動きなどを説明しながら、「将来の世代に恥ずかしくない住宅にしましょう」と提案すると、ほとんどのお客様が建物の予算を削ることなく、大容量の太陽光発電を採用してくれます。ようするに、お客様に納得してもらえる説明ができるかどうかなのです。
なお、当社では契約後に私自身がお客様向けのセミナーを行います。そのセミナーを聞いてもらった後に、太陽光発電の搭載容量などを決めてもらっています。
契約前だと、お客様も素直に話を聞けないことが多いからです。こうした点もZEH、さらにはLCCM住宅を提案する上では重要になります。
8kWの太陽光発電で暮らしのゼロエネ化は可能
──LCCM住宅の比率も6割に達しているというのは凄いですね。
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