2024.1.25

ジェクトワン、「アキサポ」を拡充し売買をスタート

空き家のオールラウンドプレイヤーを目指す

空き家を無償で活用する提案「アキサポ」を拡充、空き家の売買事業をスタートした。再販や証券化など空き家事業の多角化も視野に入れている。

ジェクトワン(東京都渋谷区、大河幹男社長)は、空き家活用サービス「アキサポ」において、空き家の売買も対象とするなど、そのサービス内容を大きく拡充する。「アキサポ」は、同社が7年前から展開している事業で、空き家所有者の負担ゼロで空き家活用を提案する。例えば、シェアハウスやシェアキッチン、美容室、レンタルスペースなど、所有者のニーズを踏まえ、建物の特徴や立地などの条件を踏まえて資産価値を上げる活用を行う。空き家に定期借家権を設定して、同社が工事費などを負担し所有者に賃料を払う仕組みだ。活用が難しい場合でも、土地の買取り、解体、建て替えなどさまざまなニーズに対応する。22年度の問合せ件数は3336件、空き家解決件数は100件と前年から1.5倍以上の伸びであった。

先に改正空家対策特措法が施行となり、24年には相続登記が義務化される。同社では、管理不全空家でも固定資産税の減税措置が解除される可能性があるなど、空き家を放置していること自体にデメリットが生じることから、空き家を放置していた所有者の意識が変わり潜在化していた空き家活用のニーズが顕在化すると見ている。

空き家をどうにかしたいと考える所有者にとって大切なのが、窓口となる空き家解決の相談先だ。空き家を売却したい人は不動産会社、貸したい人は賃貸管理会社、どうにかしたいという人は工務店やリノベーション会社など、空き家の活用はある程度の目的・解決策を決めてからでなければ相談先が分からない。しかし、その目的が分からないから適切な相談先が分からず、面倒になり空き家になっているのが現実だ。

マッチングサービスのβ版をスタート

同社は「アキサポ」を「空き家すべてを網羅するサービスにし、オールラウンドに空き家所有者の悩みを解決していきたい」(大河社長)との考えで、新たに空き家売買の取り組みをスタートさせた。

具体的には、アキサポ非対応エリアにおいて空き家の商談をユーザー同士が行うことができるマッチングサービスのβ版を開始。空き家の売却情報を集めたプラットフォームとなるサイトで、売却希望者と購入希望者が質疑応答や内見調整などができる。現在、30~40件ほどの情報だが、来期には数千件と拡充し本格化させる考えだ。全国の情報を網羅していく考えで、地方の場合は地元事業者の協力を得たり、成約となれば非対面での電子重要事項説明や電子契約を行っていきたい考えだ。

また、空き家活用査定システムの開発にも取り組む。現在、空き家の活用方法は現地に行って聞き込みをしたり、データを集めて判断している。しかし、相談件数が飛躍的に増えるなか、そのシステム化を進める。必要な空き家のデータを入力することで、どのような活用が適しているか、また、売却したらいくらになるかなどが瞬時にわかるシステムを構築する。将来的には、インスペクション付きのバリューアップ再販や、リノベーションした空き家を小口証券化して販売することなども視野に入れている。こうした取り組みを通じ、空き家解決件数を来期230件、再来期300件を目指す。今後は売買の売上高が増える見込みで、2年後の「アキサポ」関連の売上高は28億を計画している。