受発注電子化が2024年問題解決に貢献 業務を効率化し生産性の向上へ

建設業の2024年問題を前に、業務の効率化、生産性の向上が待ったなしの状況を迎えている。
その解決に向けDXが急速に進むが、なかでもデジタル化が顕著なのが受発注業務に関する分野。
電子受発注創成期から20年の歴史を持つNECの工事受発注電子化サービス「easyHousing」が注目を集めている。

住宅業界においてDXが急速に進んでいる。

住宅ビジネスは、プロモーションや打合せなど受注までの顧客とのやりとり、職人や部資材の手配、現場の管理、引き渡し後の顧客管理、また、工事事務においても、見積もり、受発注、完了報告、請求書送付など仕事は広範囲に及ぶ。それぞれの場面においてデジタル化が進み、それぞれの分野で、業務の合理化・省力化に寄与する新たなデジタルツールが開発され、導入が進んでいる。

こうしたなかでもデジタル化が顕著なのが受発注など電子契約にかかわる分野だ。

2001年4月に建設業法の第19条が改正されて建設業においても電子契約が可能となった。2003年にはNECが電子契約に対応するサービス「easyHousing(イージーハウジング)」をリリース、その後、さまざまな電子契約サービスが登場してきたが、その導入が決定的に増えたのはここ数年のことである。コロナ禍でリモートワークが盛んになり事務作業上のリスクヘッジが重要になってきたこと、さらに電子帳簿保存法の改正やインボイス制度など新たな法制度への対応が急務になってきたことが背景にある。

20年で4万社を超える実績
信頼の電子受発注システム

NECが提供する工事受発注電子化サービス「easyHousing」は、現場オペレーションのDXを支援するシステムだ。

工事の受発注業務を紙から電子に代えるというシンプルなサービスで、書類の郵送や返却の確認、保管など、現場の業務負担を軽減し、受発注業務をスピーディに行うことができるようになる。

国土交通省のガイドラインに準拠し、コンプライアンスを遵守しながら業務を行えること、20年にわたるサービス提供や大手ハウスメーカーを中心に4万社を超える導入実績など、安心して利用できることが大きな特徴だ。導入した企業では、書類作成や郵送の作業を軽減できた、発注書と請書の齟齬確認を削減できた、請求書入手の月末集中を平準化できた、などの負担低減を実現できているという。

また、通信費、紙資源、トナーや郵送代、ファイリングスペースの削減などに加え、事務作業工数の削減によるコスト削減が見込める。さらに、紙帳票の場合、工事請負契約書などに印紙が必要だったが、工事受発注を電子化することでこの印紙代がすべて不要になる。

「easyHousing」は、受発注業務の一連の流れのなかで一貫してサービスを提供する。基本機能である「発注・請負機能」はシンプルな画面で簡単に請負処理が可能で、原本データとして12年間保管する。また、発注書にファイルや約款の添付も可能となっている。

この機能以外はオプションとなるが、「見積依頼回答機能」は発注企業が設定した作業に対して数量や単価を簡単に回答するものと、詳細まで回答入力ができる2つのバージョンを用意している。

「工事完了報告機能」は工事完了報告書を作成・登録し、「請求機能」は完成払いと出来高払いの2種類を準備し、発注書に紐づいた請求書を発行する。「支払い通知機能」は「easyHousing」以外の請求情報も記載可能だ。

NECの工事受発注電子化サービス「easyHousing」

基幹システムとの連携で業務全体の合理化、省力化も

これらの業務機能以外に、基幹システム連携のオプションを用意していることも大きな特徴だ。基幹システムは、これまで部署ごとに管理していた情報を一元管理するシステムのこと。案件の情報プラットフォームとすることもでき、顧客データ、工事データなどすべての情報を社内で共有することができる。

これまで部門ごとにそれぞれのシステムが導入され、社内で情報が寸断されていた。そのため同じ情報を何度も入力する手間の発生や、担当部署に聞かなければ分からないという属人化など、社内の無理・無駄につながっていた。一つのプラットフォーム上にすべての情報を蓄積し、管理することで業務の合理化・省力化を図ることができるようになる。

今、住宅事業の流れのなかで、さまざまな部門の電子化が進むが、それぞれの部門がスタンドアローンでシステムを導入していては合理化・省力化の効果は低い。導入するシステムを基幹システムと連携してこそ、大きな効果へとつなげることができるのである。それがシステム連携だ。

工事受発注電子化サービス「easyHousing」は、実際、さまざまな基幹システムとの連携実績を持つが、その一つがKSKの「住宅マネージャー」だ。

「住宅マネージャー」で実行予算発注データを作成し、そのデータを「easyHousing」に流す。注文書や請書、完了報告書、請求書などのやり取りを電子的に行い、請求書を受け付けた段階で再度「住宅マネージャー」で請求受付、支払い処理を行う。これらはほぼ自動で行われ、その結果を会計システムに連携させる。

発注企業は見慣れた基幹システムから多くの発注処理ができ、既存の業務オペレーションを大きく変えることなく利用することができる。また、発注後の支払い業務などの部門間にまたがる場合も電子データのやり取りで済むため、データ入力等の作業を削減することができる。棟数が多い住宅事業者では月間8000枚以上の伝票処理が手作業で行われているという。紙で印刷し、封入し、郵送するという手間は膨大だ。KSKによるとこれらの電子対応により受発注業務の半分以上は削減できるという。

「easyHousing」は、基幹システムとの連携を管理する機能も提供しており、連携データの確認やエラー発生時の確認、リカバリー対応などにより障害発生時もスムーズな対応が可能だ。

電子契約サービスは継続性、サポート、安定の連携で選ぶ

20年以上にわたり工務店など住宅事業者への電子契約導入に携わってきたデジタル・インフォメーション・テクノロジーの成田裕一DXビジネス研究室室長は、電子契約サービスを選ぶポイントとして、①継続的なサービス、②導入サポート、③安定したシステム連携、という3点を指摘する。

電子帳簿保存法により定められる文書の長期保管に対し、会社がなくなるようなリスクを避けるために信用力のある事業者を選ぶことが重要となる。電子契約サービスを直接使うのは発注者ではなく取引先となるためしっかりとした導入サポートが不可欠だ。

また、他のシステムと連携する場合にはデータがしっかりと渡ったか、その管理が非常に重要となる。

「easyHousing」は、これらの要素を満たす電子契約サービスだ。今後、住宅事業者にとって基幹システムと「easyHousing」を組み合わせたようなシステム導入も、不可欠になっている。