[2024年の注目マーケット]木造市場 脱炭素など時代が求める木造建築
国をあげた木材活用促進のなか新たな局面を迎える
都市の木造化推進法を大きな節目に加速する建築物の木造化。国の支援や規制の合理化などを背景に、大きなうねりとなっている。低層住宅は4号特例縮小や省エネ基準の適合義務化などを踏まえ生産・供給面でも大きな変革の時期を迎えている。
今、大きく動き出しているのが木造市場だ。
脱炭素社会の実現、SDGs、地域産業の活性化など、さまざまな変化を背景に、住宅産業における木材活用、さらに国産材の活用が強く求められている。2024年は、住宅、施設、オフィスビルなどあらゆる建築物の木造化にさらに加速がつきそうだ。
住宅・建築分野における木材利用の大きな転機となったのが21年に施行された「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用促進に関する法律(都市(まち)の木造化推進法)」だ。それまでの「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律(木促法)」を改正、公共建築物にとどまらず一般建築も含めて国をあげて木造化を推進していくこととなった。
林業・木材産業の事業者に対して安定供給の努力義務を規定するとともに、木材利用の促進に関する施策を充実し、さまざまな支援制度も整備されてきている。
林野庁によると、21年の建築用材料等の総需要量は3647万3000㎥(前年比295万7000㎥増)、建築用材等の自給率は48.0%で同0.8ポイント上昇した。21年度に国が整備した木造化された公共建築物は75棟、木質化を行ったものは177棟であり、使用した木材量は5546㎥となっている。
一方、「都市の木造化推進法」で規定された国と民間による建築物木材利用促進協定も広がっている。22年12月末時点で国との協定により216件の木造化・木質化が行われ、計約4900㎥の木材が使用、地方公共団体との協定で516件の木造化・木質化が行われ、計約1万200㎥の木材が使用されている。官民の連携による木材活用も今後着実に進みそうだ。
木造化推進については、関連省庁で様々な取り組みが進んでいるが、直近では政府が進める花粉症対策でもクローズアップされた。
23年11月にまとめた「花粉症対策初期集中パッケージ」では、その発生源対策として「スギ材需要の拡大」を掲げ、①木材利用をしやすくする改正建築基準法の円滑な施行、②国産材を活用した住宅に係る表示制度の構築(23年内を目処)、③住宅生産者の国産材使用状況等の公表(23年内を目処)、④建築物へのスギ材利用の機運の醸成と住宅分野における国産材(特にスギ材)への転換促進、⑤大規模・高効率の集成材工場、保管施設等の整備支援――の5つを掲げている。
現在、スギ人工林の面積は431万haであるが、政府はさまざまな施策を通じて33年度にその約2割を減少させたい考えだ。花粉症対策も国産スギ材の利用拡大の大きな追い風になりそうだ。
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