2023.12.20

Looop、市場連動プランが順調に拡大

行動変容促し新規開拓、25年度40万件を目標

昨年末に導入した市場連動型料金の「スマートタイムONE」が順調に拡大している。アプリの開発や独自サービス、エネマネ機器との連携など多面的な展開を通して生活変容を促し、25年度40万件の導入を計画する。

Looopは、22年9月に、同社が展開する電気小売り事業「Looopでんき」の料金プランを見直し、それまでの日本卸電力取引所に連動した燃料費調整単価を含むものから、独自の市場連動型プラン「スマートタイムONE」への切り替えを発表、同年12月1日から新料金プランに移行した。

一般的な電気料金プランは、電力量料金(単価を3段階に設定)と燃料調整費(毎月変動の料金単価)、そして再生可能エネルギー発電促進賦課金という3つをあわせたものに電力使用量をかけて算出、これに基本料金を加えたものになる。

一方、「スマートタイムONE」は、30分ごとに変わる電源料金+固定従量料金と再生可能エネルギー発電促進賦課金を加えたものに電力使用量をかけて算出する。つまり、基本料金と燃料調整額が不用な料金メニューだ。

このうち電源料金はJEPXスポット価格に連動し30分ごとに変動する。太陽光発電量が多い昼間は電気料金単価が安くなる傾向にあり、うまく電気利用をすることで電気料金を下げるとともに、ピークシフトに貢献することができる。

今後の展望を語る小川朋之・電力本部 本部長( 左)と、小林克明・マーケティング部部長

ファミリー世帯など昼間に電気を多く使う家庭ほど多くの恩恵を得られ、同社のシミュレーションによると、東京居住の3人世帯が「スマートタイムONE」に切り替えることで年間約6700円の電気代節約になる。最大では年間約6万6500円(北海道・単身世帯)という試算もある。

料金プラン変更直後の23年3月時点のLooop電気のユーザーは約25万件であったが、「スマートタイムONE」に切り替えて半年経過後の23年9月時点は1万件増の約26万件と順調に推移しており、25年度末に約40万件という目標を掲げている。

Looopは「エネルギーフリー社会の実現」をビジョンに掲げる一方で、再エネニーズなどを喚起することも使命と捉えている。その再エネの導入量は、FITや補助金などを背景に一定量まで伸びたが、急激な拡大にまでは至っていない。一方で、太陽光により昼間に需要量以上に発電する場合は出力制御が行われる、つまりせっかくの再エネを捨てていることに等しい。この昼間に余っている太陽光発電由来の電力を使い、再エネを最大限普及させようというのが「スマートタイムONE」の狙いだ。

昼間に発電される電力を使うためには、生活者の行動変容が重要となる。このため同社は「Looopでんきアプリ」を開発して電力使用の見える化を行い、「ゼロエネ放題」で昼間の電気代を1時間無料としてピークシフトを促すなどの取り組みも行っている。また、スマートリモコンやエネマネ機器との連携、蓄電池や太陽光パネル、電気自動車との連携など電気のより良い使い方を進めている。「こうした多面的な取り組みにより、25年度末40万件という目標は十分に届く数字」と、エネルギーの調整力を高めることで新規の再エネ導入に拍車をかけていきたい考えだ。