2023.12.13

YKK AP、マドリモ 樹脂窓にハイブリッド専用枠

樹脂窓の更なる普及へ向け、課題を解決

YKK APは「マドリモ 断熱窓 戸建用」の樹脂窓 引違い窓に「ハイブリッド専用枠」を追加。
壁厚の薄い住宅やWサイズの大きい窓への対応力を上げ、樹脂窓の販売促進を図る。

窓のリフォーム向けカバー工法「マドリモ 断熱窓 戸建用」の樹脂窓 引違い窓に、アルミ樹脂複合構造の枠「ハイブリッド専用枠」を追加、24年2月5日より販売開始する。これまで樹脂窓のリフォーム採用にあたって課題とされていた、見込みや見付けの大きさや、横幅の寸法などを改善し、樹脂窓の更なる普及拡大を目指す。

「マドリモ」は、約半日でリフォームが完了するカバー工法の窓リフォーム商品のシリーズだ。同社によると、シリーズ全体での販売数量は年々伸びており、2016年度にマドリモ断熱窓「樹脂窓」を販売開始して以降、22年度までに数量のボリュームは約2.5倍となっているという。

窓の断熱改修へ大きなインパクトを与えたのが、22年度の補正予算で事業実施が決定した「先進的窓リノベ事業」だ。一定の基準を満たす高断熱窓の設置に対して補助を行うものであったが、一戸当たり最大200万円の大型補助金は市場の活性化に大いに貢献し、窓改修を急加速させた。

この大型補助金は「マドリモ」の販売構成比にも影響を与えた。

縁側の広い窓にも樹脂窓を採用できる

22年上半期のマドリモ断熱窓の材質別販売構成比は、樹脂窓が5%、複合窓が95%であったのに対し、23年上半期は、樹脂窓が45%、複合窓が55%となっている。樹脂窓と複合窓では補助金額が大きく変わるため、より補助額の高い樹脂窓の販売数量が急増した。

一方で、同社は補助額が高く性能もよい樹脂窓の構成比が半数以下という現状に対し、まだまだ販売拡大の余力があるとみている。

ハイブリッド専用枠で樹脂窓普及へ
より多くの住宅に提案できるよう改善

こうしたなか、同社は窓リフォームにおける樹脂窓の課題として①枠の見込みが大きく、古い住宅の壁厚におさまらない、②枠の見付けが大きくテラス窓などで足をつまずく恐れがある、③樹脂枠の横幅寸法が9尺までしかなく昔ながらの縁側に対応できない、④四方溶着された枠が階段で2階に運びづらい、といった4点を指摘。これらを解決するため、マドリモ断熱窓戸建用の「樹脂窓 引違い窓」に〝ハイブリッド専用枠〟を投入する。

専用枠にすることで見込みや見付けのスリム化を実現した

ハイブリッド専用枠は、ガラス入り完成品の樹脂障子にノックダウンで組み合わせるアルミ樹脂複合枠。真空トリプルガラス仕様で1.4(W/㎡・K)、Low-Eガス入り複層ガラス仕様で1.8(W/㎡・K)と、従来のジョイント枠とほぼ同等の熱貫流率で、薄い壁厚への対応や、枠見付のスリム化を実現した。
樹脂窓の設置にあたって、一番の課題となっていたのが、既設住宅の薄い壁厚に対応できないケースだ。これまでのジョイント枠は、躯体に固定するためのビスが窓のアングルに干渉しないようにするため、枠見込みが大きくなってしまっていた。一方で、ハイブリッド専用枠は、マドリモ専用に起型した枠構造でビスを打った後にアングルを取り付けることができるようになった。これにより、見込み幅を148㎜から117㎜に削減、105角柱+石膏ボード直貼り+既設内付サッシでも設置できるようになった。また、窓だけでなく額縁にも見込みの薄い「樹脂額縁 見込小」を新規設定。ほとんどの既設住宅の壁厚、納まりに対応可能となった。
併せて、枠見付けもスリム化。枠+障子146㎜だったものを99㎜にした。これにより有効開口が広くとれるようになるほか、下枠の立ち上がりも57㎜から29㎜になり、テラス窓に採用する場合も出入りしやすい。

山田司 執行役員住宅本部住宅商品企画部長。補助金などの影響もあり、樹脂窓の販売が伸びているという

また、最大サイズをW9尺×高さ2230㎜から、W12尺×高さ2467尺まで拡大、縁側などの広い窓へも採用できるようにした。サッシ流通店が使用する運搬トラックの積載可能サイズへの配慮から9尺までとしていたが、ハイブリッド専用枠はノックダウン式で現場での組み立てとなるため、トラックへの積載が可能になり、W12尺を製作することができた。荷扱い性も向上し、2階に設置する際にも階段での運搬がしやすくなる。

価格は、樹脂窓ジョイント枠から1割ほどコストダウンし、テラスサイズで27万7000円。アルミ樹脂複合窓との価格差を縮めることで、エンドユーザーが樹脂窓を選択しやすくなる。

新商品に対し、サッシ流通店からは、「現場によって使えたり、使えなかったりするため積極的な樹脂窓の提案を行ってこなかったが、薄い壁厚にも対応した新商品であれば安心して提案を行える」、「地域柄、縁側の家が多く、サイズの関係で複合窓しか提案できなかったので、W12尺まである樹脂窓はいい」といった声があったという。また、アルミ樹脂複合窓の専用枠と施工方法が同じため、マドリモを扱ってきた流通店であれば、問題なく施工できる。

同社は「24年度も23年度と同程度の補助金があるとすれば、『マドリモ 断熱窓 戸建用』の構成比は樹脂窓が8割近くに達するのではないか」(山田司 執行役員住宅本部住宅商品企画部長)とみている。