『自分で考える』が大切 子どもたちの関心を高め郷土の担い手に

片山善博所長 大正大学 地域構想研究所

片山 善博所長
大正大学
地域構想研究所

地理的条件、文化、産業などが多様な環境に置かれている日本。当然のことながら、地方における課題も様々だ。そうした地域の課題解決に向け、研究者と地域を結びつけているのが、大正大学地域構想研究所だ。同研究所所長で、鳥取県知事を務めた経験もある片山善博氏に話を聞いた。

──地方を巡る課題をどのように認識しているか。

大きなポイントとしては2つある。1つは人口減少。もう1つは生産性の低さ。建設業を例にとると、地方でよくあるのが、下請けの下請けが多いということ。こうした場合、仕事は忙しくて、人手不足になるが、身入りが少ない。働いても働いても、収益は上がらないし、労働者の賃金も上がらない。こうした課題は、建設業だけではなく、中小企業全般に言えること。その原因は、技術力が低いなど構造的に根深いところにある。これを変えることが重要だ。

──人口減少に対しては地方への回帰の動きも出てきているが。

今まで、各自治体は人口問題に対しては、Uターン・Iターンなど移住増加に力を入れてきた。しかし、私見だが、これは不毛な奪い合いにしかならないと思っている。どこかの県で10人増えたら、よその地域で10人減っているわけで、日本全体としては減る傾向は変わらない。地道に、出生率をできるだけ上げるとか、そのための子育て支援策を充実させるなどに取り組むべきだった。岸田政権になってようやく『奪い合いをしろ』とは言わなくなり、国が主導して子育て政策とか少子化対策をやるようになっている。財源をどうするかという課題もあるものの、着眼点を変えたのは良いことだ。もちろん、移住するなと言っているわけではない。それはそれで重要だが、あえて躍起になって競争する必要がないということだ。

同時に、今地方に住む子どもたちが地域の担い手になってくれるように、郷土をもっと知ってもらって関心を持ってもらうことにも取り組むべきだ。すなわち、子育て対策と、地域を好きになってもらう取組みの両面で進めていく必要がある。

地域への愛着を持ってもらうという点では、最近は地方にも外国人が多く訪れており、自然も歴史も、景観も、『ワンダフル』と評価してくれている。そういう意味では地方の魅力を逆に海外の人が気づいて、教えてくれるということも増えている。

──生産性という課題に対しては、地方はどのように対応していくべきか。


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