セーレン、増える高断熱住宅へ向け調湿気密シート市場へ参入
開発5年の「ミストガード」で事業拡大へ
2023年10月より調湿気密シート「ミストガード」の発売を開始した。既存顧客を始め、住宅事業者、外壁メーカー、断熱材メーカーなど各方面への販路拡大により、最終売上10億円を目指す。
住宅外壁用の透湿防水シートで大きなシェアを持つセーレンが、可変透湿で断熱材の結露を防ぐ「高性能調湿気密シート ミストガード」の販売に乗り出した。
新築の住宅着工戸数が減少するなか、新規事業を検討していたところ調湿気密シートの要望が顧客から多数あり、5年かけて開発した。「創業以来の繊維加工技術を製品開発に生かすことが大きな方針であり、透湿防水シートの技術も生きている。販売面においても透湿防水シートと調湿気密シートは親和性が高い」(杉田賢造 環境・生活資材事業部長)と同社の強みを生かせる商品であることが参入の後押しになった。
地球温暖化などの影響で、夏場の気温が40度近くまで上昇する日が増加するなか、問題になっているのが夏型結露だ。逆転結露とも呼ばれ、湿気が冬とは逆の動きをすることで壁内に結露が起こる現象で、断熱性能の低下や躯体の腐朽を招く恐れがある。住宅の高断熱化に合わせ高気密化が進んだことにより、夏型結露が発生した場合に水分の逃げ場がなくなっており、対策が迫られている。一般的な気密シートが冬場に室内の湿気が壁内に入り込むのを防ぐ防湿の役割を持つのに対し、調湿気密シートは、冬は防湿気密、冬とは湿気の動きが逆になる夏は透湿を行うため、季節を問わず結露を防止することが可能だ。
同社の「ミストガード」は、調湿性と施工性が特長。調湿性では、透湿抵抗の高い素材を使用したことで、夏型結露に優れた効果を発揮する。施工性では、透明度が高く、シートの上からでも工事に必要な線や寸法を表す墨出しが見えやすいことに加え、1m巾と2m巾での幅展開で広い壁面にも簡単に施工できる。特に、2m巾の商品は同社のみのラインアップで、フィルムと不織布の貼り合わせなどで開発に苦労したという。
住宅の断熱化の流れを受け
調湿気密シートへの期待高まる
気温上昇で全国的に夏型結露の懸念が強まっていることに加え、住宅の断熱性向上といった要因からも需要の高まりを期待する。例えば、グラスウール断熱材では、断熱・気密の施工精度を高めやすいため、いわゆる“裸”のグラスウールと別張り気密シートの採用を推進する動きがあるとし、こうしたなかで調湿気密シートの市場の拡大を見込む。
先立って、大手建材流通事業者の展示会で初披露したが、他の出展企業からも問い合わせがあったとし、同社の透湿防水シートの既存顧客のほか、断熱の上位等級に積極的に挑戦する住宅事業者、外壁メーカーや断熱材メーカーなどへ向けて販路を拡大していきたい考え。
協力工場で生産しており、20万~30万㎡/月の生産能力を確保している。今後、事業性を確認しながら内製化の動きも進めていきたいとし、まずは年間3億円、最終的に10億円の売上を目標とする。
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