伊藤忠建材、国産材のサプライチェーンを独自に構築
安定した品質の国産材の全国供給を可能に
伊藤忠建材は、国産材のサプライチェーンを独自に構築し、全国での供給を可能にした。全国の製材事業者やプレカット事業者との連携によって、JASの機械等級に基づきながら、品質の安定した国産のスギ・ヒノキを供給していく
国産材のサプライチェーン構築に向けた動きが活発化する中で、伊藤忠建材では山林所有者から素材生産業者、製材・集成材工場、プレカット工場、そして住宅会社という川上から川下までのプレイヤーが需要側の情報を共有しながら、国産材を安定供給する仕組みを構築した。
まず住宅会社の年間の住宅供給量から必要になる木材の量を部位ごとに算出し、その情報を川上へと伝えていく。当面は木材の需要量を把握しやすい分譲住宅を中心として、この仕組みを活用していきたい考えだ。
川上側は、川下の需要情報に基づき伐採計画や製材量を決定していくことで、不要な在庫を抱える必要がなくなるだけでなく、市場での取り引きと比較すると売価の安定につながる。
売価は、事前に基本価格を設定し、公共性の高い指標の3カ月間の市況動向に基づき、次の3カ月間の値段を決めていく。市況の動向も考慮した値付けとなる一方で、需要側と供給側で価格が見える化されることで、信頼関係に基づくサプライチェーンの構築にもつながるというわけだ。
製材品の在庫を保有することでリードタイムを短縮
なお、製材に関しては、JASの機械等級によるグレーティングを行える製材事業者と連携しており、安定した品質の木材を提供していく。
国産材の活用を図る上で課題になる梁などの横架材について同社建材木材製品事業部の久村将英 木材製品第二部長は、「例えばJASのE70を安定的に調達することが難しい地域であれば、E50で梁の断面を大きくすることなどを提案していきたい。材積は増えるが、他の部分で効率化を図るといった取り組みを進めることでコストダウンを実現できる」と語る。
プレカット加工の承認から現場に納品するまでのリードタイムの短縮に向けた取り組みも進めている。製材品を同社が在庫として保有することで、加工承認後すぐにプレカット加工を行える体制を整備しており、住宅会社の要求に対応できるようにしている。
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