YKK AP、2024年問題、脱炭素へ向け物流の方針を転換
需要地での在庫へ首都圏DCを開設
埼玉県加須市の加須ディストリビューションセンター2内に新たな物流拠点「首都圏DC」を開設。需要地での適正在庫により、2024年問題や脱炭素へ対応する。
首都圏エリアに向けた住宅用商品の供給体制を強化するため、新たに物流拠点「首都圏DC」(埼玉県加須市)を開設、10月2日に稼働した。
同社の物流拠点はDC(Distribution Center)と呼ばれる物流センターと、TC(Transfer Center)と呼ばれる荷捌きセンターの2つで構成される。DCは、工場からの在庫を保管しておき受注に応じて出荷を行う施設。一方、TCは、工場から送られてくる受注が確定したものを仕分けする施設だ。
同社はコスト面から横持輸送の廃止を進め、大規模製造拠点にDCを併設、工場生産したものを併設倉庫に保管し、受注確定後にTCを経由して配送する方法を推進してきた。しかし2024年4月以降の時間外労働の上限規制や、脱炭素への対応などから、在庫可能な商品に関しては、需要地で在庫する方針へと転換する。これに当たり、主に北陸DCで在庫してきた首都圏需要の商品を在庫するための施設を開設した。10月16日からは福岡TCの稼働を開始、物流のネットワークを強化しリードタイムに余裕を持たせることで、700㎞以上の輸送をモーダルシフトへと移行し、25年度のCO2排出量を22年度比で30%削減することを目標に掲げる。また、1日200台の拠点間輸送のうち、3割程度あるロングドライブの輸送車をゼロにしていく考えだ。なお、首都圏DCに関しては、物流会社のセンコー(杉本健司代表取締役社長、大阪府大阪市)と協定を組んでおり、構内作業などはセンコーが請け負う。
棚搬送ロボットの導入で仕分け作業の効率化へ
首都圏DCは、1階に1万5094㎡、2階に1万1108㎡の面積を持つ。2階で在庫保管を行い、1階は、荷捌きと2階に入らない長尺商品を保管するスペースだ。配送先の県ごと、さらにその中でトラックごと100方面に分けて保管する。
大きな特徴の一つが、ロボットが在庫保管棚を運んでくるGTP(Goods To Person)システムの運用だ。2階にあるGTPエリアでは、490㎣までの商品が積んである在庫保管棚を4台ある棚搬送ロボットが指定位置まで運んでくる。作業者は、棚から商品を取り出し、出荷ラベルを貼付後、スクリーンに表示される指示に従って100方面のトラック別に仕分けを行う。仕分けステーションは在庫棚が運ばれる入出庫ステーションの隣と作業者の後ろに位置しており、作業者はほとんど移動をせずに仕分け作業が行える。GTPシステムの導入により従来と比べて作業時間が半減するほか、効果検証できていない部分として、県方面ごとの仕分けの後にトラックごとの仕分けと2段階で仕分けしていたものを、一度でトラックごとに仕分けられるようになったことによる効率性の向上を見込む。
まずは、即納要求の高いエクステリア商品を中心に管理を行い、24年3月以降より首都圏需要が高く、生産拠点が遠距離となる住宅・エクステリア商品などを追加していく予定だ。
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