ミサワホーム/富士通、日常生活での常時認証技術の可能性を検証
体験者約9割の個人識別に成功
共同で行っている常時認証技術の実証実験について中間報告などを実施。体験者の約9割の個人識別に成功したことを公表したほか、24年度中にもコア技術の実用化を目指す考えを示した。
ミサワホームと富士通は、常時認証技術を暮らしに取り入れた際の有効性を検証する目的で、2023年6月から実証実験を開始した。常時認証技術とは、顔認証などの生体認証技術と、人の外見的特徴や行動を認識する「行動分析技術Actlyzer(アクトライザー)」を組み合わせることで特定エリア内の人物の位置や状態をリアルタイムに推定できる技術のこと。生体認証による本人確認結果を複数台のカメラで撮影した人物と紐づけており、外見などの特徴を随時抽出して特徴量を更新することで認証状態を維持することができる。
実験は、ミサワホームの住まいづくり体感施設「ミサワパーク東京」(杉並区)内に2021年に建設したコンセプト住宅「グリーン・インストラクチャー・モデル」の1階シェアオフィスを活用して行っている。
実験では、来訪者が撮影されていることを意識しないよう、意匠性を考慮したカメラの台数・配置での「個人の特定精度」、動作検知と機器の連携による「パーソナライズ化された空間」、来場者の転倒など異常を検知する「セキュアな空間」の3つの観点を検証中だ。
実証実験に着手した背景として、ミサワホームは「常時認証技術は、『誰が、いつ、何をしたのか』を正確に把握することができるため、家庭内や施設で不慮の事故が発生した場合などに早急な対応ができるほか、子どもの見守りなどにも活用できると考えた」(商品・技術開発本部 商品開発部 企画デザイン課・仁木政揮課長)としている。
一方、富士通は「IT技術はあってもそれを活用した実証の場をあまり持ち合わせていなかった。今回の実証実験を通して社会実装を加速させたい」(富士通・ソーシャルソリューション事業本部 TSG/P&Safety事業部・出海主規シニアディレクター)考えだ。
このほど発表した実証実験の中間報告では、個人の特定精度の観点に言及、63人の体験者のうち、約9割の人を正確に個人識別することに成功したと発表した。ただ、検証を通じて課題も浮上してきた。ユニフォームなど類似した服装の人が複数いた場合は特定精度が低下するケースがあるという。この点については歩き方や振る舞いなど個人の動きの特徴、体格などにフォーカスすることで、より特定精度を高めて対応していく方針だ。
富士通・富士通研究所データ&セキュリティ研究所の山田茂史Privacy-IDコアプロジェクトシニアプロジェクトディレクターは、「従来の認証技術は建物の出入り口などで本人確認をするだけの“点”の認証だったが、常時認証技術はそれを連続的に行う“線”の認証と言える。これを暮らしに応用できれば、より安心で快適な生活が実現できるようになる」と技術の普及に期待を寄せる。
今後、さらに実証を重ね、コア技術である常時認証部分については24年度中に一部実用化したい考え。そしてそれを応用した見守りサービスなどは住宅やオフィスを中心とする小さな空間から導入をはじめ、商業施設や医療・介護施設など不特定多数の人が出入りする空間への拡大を狙う。
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