第17回 キッズデザイン賞 最優秀賞など37作品を選出
優秀作品にYKK AP、積ハ、大和ハなど住関連企業も多数
キッズデザイン賞の最優秀賞など37作品が決定した。
「子ども」が政策の重要なキーワードとなるなか、同賞受賞の意味も高まる。
今回も住宅関連企業の作品が多く選定された。
キッズデザイン協議会が、第17回キッズデザイン賞の最優秀賞など37点を発表した。今回の表彰でも、住宅やまちづくり、また、建材、設備など住宅関連会社の商品や提案が多く選出されている。
キッズデザイン賞は、子どもや子どもの産み育てに配慮したすべての商品・サービス・空間・研究を対象とする顕彰制度で、受賞した作品は「キッズデザインマーク」をつけることが認められ、広く社会にアピールすることができる。
第17回目を迎える今回は、応募数398点のなかから、「子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン」53点、「子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン」126点、「子どもたちを産み育てやすいデザイン」79点の計258点が受賞した。この受賞作品258点のなかから優秀作品に37点がノミネートされ、最優秀賞のほか、各部門別に優秀賞、奨励賞、特別賞が選定された。
優秀賞(内閣総理大臣賞)を受賞したのは『こども選挙』(こども選挙実行委員会)。これは17歳以下の子どもを対象とした市民発の模擬選挙プロジェクトで、2022年の茅ケ崎市長選挙で初開催された。「子どもが聞いて、子どもが選んで、子どもが届ける」を掲げ、その運営も子どもたちが担った。また、そのノウハウをオープンにしたことで、23年4月の統一地方選において全国3都市に広がった。最優秀賞の受賞について「子どもを社会的弱者と捉えるのではなく、これからの社会をつくり、担う主役として位置づけることはとても重要である。また、今後のキッズデザインのあり方を示すものであり、最優秀賞にふさわしい作品」と評価された。
37作品の中には住宅産業界からも多くの企業が選出された。
「子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン」部門のクリエイティブ部門で優秀賞(経済産業大臣賞)に選定されたのは『パッシブタウン第4街区 たんぽぽ保育園』(YKK不動産/田口知子建築設計事務所/竹中工務店)。同施設はYKKグループの事業所内保育施設として整備したもので、高断熱と創エネでZEBを達成、「開放的でのびやかに過ごせる保育園で、造形的なデザインとしても高く評価」されての受賞となった。
「子どもたちを産み育てやすいデザイン」部門の個人・家庭部門で優秀賞(こども政策担当大臣賞)を受賞した『音の自由区』(大和ハウス工業)は、同社が開発した防音室で、防音仕様の異なる3つのグレードを用意して提案する。技術的なアプローチで室内を図書館並みの静けさに保つことができ、同時に子どもの動きは見えるという点が評価された。
同部門の地域・社会部門の優秀賞(こども政策担当大臣賞)は『「一つ屋根の下で一緒に過ごす!」フジ虎ノ門こどもセンター』(青虎会/積水ハウス)。一つ屋根の下でケアの必要な健常児とチャレンジドが一緒に過ごすこどもセンターで、子どもたちが安心して学び生きるためのコミュニケーションを実践している。同社は、今回、計9作品のキッズデザイン賞を受賞、第1回から17年連続で累計116作品を受賞、その数は住宅・建設業界の応募企業のなかで最多を誇る。
また、優秀作品のなかで奨励賞(キッズデザイン協議会会長賞)を受賞したのは16作品。住宅関連の企業としては、『乾電池式オートマージュ台付タイプ』(LIXIL)、『共有地で「共助」を育み、暮らしの中で「自助」を学ぶ家』(ポラスタウン開発)、『脱炭素型ライフスタイル推進 省エネナッジ教育』(東京ガス/住環境計画研究所)、『M30 顔認証自動ドア』(YKK AP)、『~子育て世代へ LIFE IDEASを盛り込んだ住まい提案~積水ハウスノイエ』(積水ハウス)が選出された。
このうち住宅の選定は2作品。『~子育て世代へ LIFE IDEASを盛り込んだ住まい提案~積水ハウスノイエ』は、共働きを中心とした子育て世代の家族に向けて、家事を効率化しつつ子どもと一緒に過ごす時間を楽しめるアイデアやデザインを盛り込むパッケージプランを提案。「それぞれの間取りや設備、空間のアイデアは子育て層の悩みやニーズを丹念に拾い、解決策を提示したもので現実的」と評価された。
また、『共有地で「共助」を育み、暮らしの中で「自助」を学ぶ家』は、ポラスタウン開発の分譲住宅「ディスカバリープロジェクト東武動物公園 コネクト・コミュニティ」が選出されたもの。子どもたちが日常生活のなかで防災の意識を高め、自然に防災を学ぶことができる。「分譲住宅地内に防災という視点を明確に持ち、防災リテラシーを高める仕掛けが盛り込まれている」点が評価を受けた。ポラスグループは、グループ各社が開発した26点が受賞しており、5年連続の受賞となった。
設備・建材では2点が選ばれた。『乾電池式オートマージュ台付タイプ』は、電気工事なしで手動水栓から自動水栓に代えることができる。「非接触がキーワードになったコロナ禍の期間、保育や子育ての現場でもさまざまな工夫が行われ、その成果の一つ」と新たな暮らし方への対応が評価された。
また、『M30 顔認証自動ドア』は顔認証などの電気錠システムで解錠するとドアが自動開閉する戸建住宅用玄関ドア。「荷物を持って両手がふさがっている、寝てしまった子どもを抱っこしている、ベビーカーを押している時など子育て中にありがちなシーンをサポート」と、同商品のコンセプトなどが評価を受けた。
さらに、「BEYOND COVID‐19 特別賞」には『子どもたちに安心・安全な空気を提供する「ヘルスエアー機能付き大風量循環ファン」』(三菱電機)、『IHクッキングヒーターNシリーズ』(日立グローバルライフソリューションズ)、『分譲マンションにおける子育て支援サービスの提案』(積水ハウス)が選ばれている。
こども家庭庁が発足するなど、国は”子ども”を軸とする取り組みを強化している。子どもを産み、育てやすい社会の実現に向けて、暮らしを支える住宅関連産業の役割は非常に大きい。今回、優秀作品だけでなく、キッズデザイン賞受賞作品のなかに住宅関連企業の名前が多く並んでいるのはその表れでもある。
キッズデザイン協議会
坂井和則会長
第17回キッズデザイン賞への応募は、厳しい社会状況にもかかわらず398点。今回はインクルーシブな観点からの作品が増えてきた印象があり、子ども本人やその家族を孤立化させないアプローチが拡大していることに気づかされる。また、今回も地域というワードが多くみられ、地域社会が子どもを守り育むだけではなく、子どもたち自らが地域を知り、考え、関わっていく、まさに子どもが主体の作品が目についた。
キッズデザイン協議会
河﨑由美子副会長
こどもや子育てを取り巻く課題は年々多様化している。当協議会は、キッズデザイン賞を通じてさまざまな課題に向きあった子ども視点を持つ優れた作品にスポットを当て、社会に広めるための活動を一層充実させていく。子ども政策が大きく取り上げられる今こそ、私たちが持つ子ども視点の知見を広く共有していく意義が高まると考えている。子どもたちの未来が持続的で明るいものとなるよう、取り組みを強化していきたい。
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