2023.9.29

(一社)優良ストック住宅推進協議会、22年度スムストック成約数は1.2%増の1880棟

捕捉率20%以上へ買取再販の強化が鍵

「スムストック」の2022年度成約件数が前年度比1.2%増の1880棟になった。23年7月からスタートした新査定式の現場への確実な浸透を図るなど、さまざまな活動を進め、成約件数増、捕捉率20%以上を目指す。

(一社)優良ストック住宅推進協議会は、08年度から既存住宅の流通促進を目的に「スムストック」の認定事業を行っている。「スムストック」とは、同協議会の大手ハウスメーカー10社がこれまで供給してきた建物のうち、住宅履歴データベースの保有、50年以上のメンテナンスプログラム、計画通りの点検・修繕、新耐震基準レベルの耐震性といった基準を満たす住宅。協議会10社の戸建ストック396万棟、年間推定流通数(22年3月時点)1万1200棟(流通率0.3%)に対して、22年度(22年7月~23年6月)にスムストックとして成約した物件数は1880棟であり、スムストック累計成約数は1万7637棟となった。協議会10社の流通捕捉率は約17%、前年度比で1ポイント増加した。

「国が進める既存住宅流通のトップランナーとして中期計画を推進していく」と話す堀内会長

堀内容介会長(積水ハウス 代表取締役 副会長執行役員)は、「新設住宅着工戸数の特に持家は23年7月で20カ月連続前年同月比減と厳しい市況が続いているが、スムストック成約数は微増だが前年度を上回った。これはスムストックへの期待が大きいことの表れと捉えている。とはいえ、捕捉率20%の目標にとどいていない。協議会10社の中には、捕捉率30%を超える企業が2社存在する。買取再販を強化すれば、捕捉率は上がることは分かっている。各社の考え方もあるが、捕捉率向上に向けては買取再販の強化が重要になる。社会課題でもある『所有と利用のミスマッチ』の解消のため、また、良質な住宅ストックが若い方の手に届くように、国が進める既存住宅流通のトップランナーとして中期計画を推進していく」と話した。

査定式を改定、運用を開始

22年度は、スムストックの「安心・安全」のさらなるレベルアップ、優位性の向上に向け「スムストック住宅評価報告書」の運用を開始。また、売買時の各種制度・権利・義務の承継手続きの指針を示した「売買時の承継に関するガイドライン」を策定、運用を開始した。

さらに、業務適正化の一環として、他社改修物件も条件付きでスムストック認定し、ブランド維持を図る「スムストック認定の技術的ガイドライン」を策定。技術関連のQ&A解説・統一化した見解をまとめた「スムストックQ&A」を改訂した。
加えて、脱炭素、レジリエンス、新しい生活様式など、今後の社会環境の変化に対応するため、スムストック査定式を改定し、「ZEH」、「V2H」、「熱交換換気システム」を査定項目に追加、一方でニーズの減少している項目の評点見直しを行い、23年7月から運用を開始した。

中期計画の最終年度となる23年度は、重点取り組み項目として「新たな認知度向上策への取り組み」、「安全・安心のさらなるレベルアップ」、「新査定式の確実な浸透」を実施し、次年度中期計画へつなげていく考えだ。