2023.6.15

シャッター2社、23年3月期は増収増益

非住宅需要が好調、環境配慮型商品も期待

三和ホールディングスと文化シヤッターの2023年3月期決算は、2社ともに増収増益。非住宅を中心とした販売数量の増加や、販売価格の引き上げが主な要因。また、中期経営計画における注力事業として、環境配慮型の商品を両社が相次いで発売している。

三和ホールディングスの23年3月期決算は、売上高5882億円(前期比25.4%増)、営業利益563億1000万円(同58.7%増)と、大幅な増収増益を達成。国内では、工場、物流倉庫向けの重量シャッターが堅調に伸びており、米国での価格転嫁の浸透による増益が大きかったことなども受け、売上、利益ともに過去最高益を更新した。

24年3月期については、米国における販売価格の軟化による影響を懸念し売上高5800億円、営業利益475億円と、減益を予測する。一方で、国内事業は「22年度好調だった工場・倉庫への販売に加え23年度以降は大型都市開発の着工、竣工があり、数量増に期待できる」(髙山靖司 代表取締役社長)と、大型都市開発などによる増益を予想する。

文化シヤッターの23年3月期決算は売上高1991億7900万円(前期比9.3%増)、営業利益96億8500万円(同6.4%増)の増収増益。工場・倉庫向けや商業施設向けが伸長したほか、オーストラリアにおける住宅向けガレージドアなどが業績をけん引した。

24年3月期は、大型現場での工期の遅れなどが影響し、今までにない受注残高をもってのスタートとなり、売上高2110億円、営業利益107億円と増収増益を予想する。また、「住宅省エネキャンペーンの助成金を追い風とした住宅リフォームの強化や、地方などにおける再開発でのビルリニューアル事業の拡大を目指す」(小倉博之 代表取締役社長)と、リニューアル提案に力を入れる。

両社が中期経営計画の注力事業のひとつに掲げているのが防災、環境への対応事業だ。

三和ホールディングスは、23年の防災・環境対応商品の売上高について1800億円(前期比5.3%増)を予定、24年には1950億円の達成を目標としている。

例えば、23年3月に発売した、非住宅向けオーバースライダー「Re‐carbo(リカーボ) 高断熱OSD」は、主に冷凍倉庫、冷蔵倉庫向けの商品。パネル厚を80㎜にし、熱縁切り構造、躯体―パネル間の断熱構造、気密構造の3点を見直すことで高い断熱性能を実現、空調効率アップによる省エネルギー化を図る。

文化シヤッターは、24年3月期の、エコ&防災事業について73億円(前期比19.7%増)を計画している。

同社は昨年より、スチールドアについて、接着工法や表面に使用する鋼板の厚みを変更し約15㎏の軽量化を図った生産を推進してきた。23年4月からは、接着工法と軽量化を両立したスチールドアを、環境配慮型スチールドア「SGD」として新発売している。同商品は、一般的なスチールドアに比べて1枚当たり約35㎏相当のCO2を削減。また、生産方法の切り替えによる会社全体のCO2削減量が23年度は700t以上になると見込んでいる。

国内における住宅市場は不安定な状況が続くなか、今期は再開発によりニーズが強い非住宅向けへの商品提案が進みそうだ。