不動産IDを介したデータ連携で協議会発足
建築・都市・不動産分野などの社会課題解決へ
不動産IDを介したデータ連携の促進に向けて官民で取り組む「不動産ID官民連携協議会」が発足した。正会員として251の企業、団体、自治体などが参画。ユースケースの創出・横展開、不動産ID推進の環境整備、会員間でのプラットフォームの構築などに取り組む。
不動産IDとは、不動産登記簿に記載されている13桁の不動産番号と4桁の特定コードで構成される計17桁の固有番号のこと。国土交通省では、「不動産を一意に特定することができるID」と定めている。不動産取引の活発化やDX推進だけでなく、行政や民間のデータを連携する際の鍵となることが期待されている。
同協議会は、国土交通省が取り組む建築BIMとPLATEAU(同省が主導する3D都市モデル整備・活用・オープンデータ化プロジェクト)による都市の3Dデジタル化の取り組みを一体的に推進する「建設・都市のDX」の実現のために不動産IDを活用していくとともに、不動産IDを介したデータ連携を促進することで、建築・都市・不動産など幅広い分野の成長や社会課題(都市開発・まちづくりの円滑化、新産業・新サービスの創出、地域政策の高度化)の解決を図ることを目的に発足した。
2023年5月の発足時点で正会員は251者(団体会員41団体、個社会員144社、地方公共団体会員66団体)。企業・団体では、不動産や建設・設計関連をはじめ様々な業界から参画があった。
主な活動内容として、①ユースケースの創出・横展開、②不動産ID推進の環境整備、③会員間のプラットフォーム構築などに取り組む。
例えば、①において「建築・都市のDX」の実現に向けた不動産IDの活用では、23年度からは一部エリアで先行的に高精細なデジタルツインを構築し、多様なユースケースを開発。25年度からは不動産IDを介したBIM・PLATEAUと官民のデータ連携により、ユースケースの社会実装に着手し、28年度以降の本格普及を目指す方針だ。
また、②では住所や番地などの所在情報から不動産IDを確認できる「不動産ID確認システム(仮称)」の技術実証と改善などを行う。23年度秋ごろに試作版として全国440自治体分の登記データを基に、同協議会の会員向けシステムを提供する予定。パイロット事業を通じて技術実証を進め、25年度には全自治体を対象に据えたバージョン2.0の展開を目指す。
協議会の発足に伴い、国土交通省 不動産・建設経済局長の長橋和久氏は、「不動産IDを介したデータ連携を通じて、不動産・建設分野のみならず宅配・物流、保険・金融、防犯・防災、まちづくりなど幅広い分野でイノベーションが生まれることを期待している」と話した。
今年度は、ワーキンググループや地域政策分科会の設置、会員交流会の開催などを予定しており、24年初頭には「不動産ID確認システム(仮称)」の利用検証や技術実証の中間報告を行うとした。
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