埼玉県住宅供給公社、公営住宅管理で高齢者世帯の見守り機能等を強化
県内の高齢化を見据えて取り組みを進める
埼玉県住宅供給公社では、県営住宅や市営住宅の管理業務について、高齢者世帯の見守り機能を強化するといった取り組みを進めている。
埼玉県の高齢化をめぐる状況については、今後、後期高齢者人口が全国トップクラスのスピードで増加することが見込まれている。団塊の世代が後期高齢者となる2025年には約121万人、2040年には約125万人に達する見込みだ。
首都圏のベッドタウンとして東京で働く多くの労働者を受け入れてきた地域だからこそ、地方部とは異なる形で高齢化が進展しようとしている。
埼玉県住宅供給公社では、県営住宅や市営住宅の管理業務を実施しており、約4万戸の公営住宅を管理している。埼玉県の高齢化が進む中で、公営住宅の居住者の高齢化も進展しているという。
また、最近では民間の賃貸住宅などから公営住宅に移住したいという単身高齢者が増えてきており、とくに利便性が高い地域の公営住宅のニーズが高まっている。
移動販売などによる生活支援も
こうした状況下で同公社では、公営住宅の高齢者支援の一環として、「IoT見守り電球」を活用した単身高齢者の見守りサービスに取り組んでいる。「IoT見守り電球」は、LED電球で電源のオン・オフの状況を通信で知らせる機能を備えている。埼玉県住宅供給公社では、IoT見守り電球を希望する70歳以上の単身高齢者に配布し、一定期間、電球のオン・オフが行われない場合、あらかじめ登録しておいた親族などのメールアドレスにそのことを知らせる仕組みとなっている。
また、「見守りサポーター登録制度」も実施している。これは、県営住宅などに定期的に来訪する新聞販売店、宅配業者、電気、ガス供給事業者や団地の保守点検などを行う民間事業者及び団地自治会のなかで、ボランティアとして高齢者宅の見守りをしてもらうもの。例えば、大量の郵便物が放置されているといった異常を見守りサポーターが発見した場合、埼玉県住宅供給公社に連絡することになっている。
さらには、なかなか買い物に行けない高齢者のために移動販売の導入なども支援している。なお、埼玉県では上尾市のシラコバト団地において、単身高齢者同士で利用できる空間や農園などを設け、居住者間の共助によって高齢者が安全・安心に暮らせる住環境を実現しようという取り組みも進めている。埼玉県住宅供給公社では、この県営住宅の管理も担っている。
同公社の庄司健吾理事長は、「県民の方々に必要とされる存在であり続けるためにも、県内の社会的なニーズを捉えながら管理業務の質を向上していきたい」と語る。超高齢化社会を迎えた日本において、埼玉県での取り組みは、都市部周辺の住宅地での公営住宅の役割を再考する上で有益なヒントをもたらすことになりそうだ。
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