ジャパンホームシールド、3種のアフターサービスの販売を開始
24年問題に向け、住宅事業者の負担を軽減
ジャパンホームシールドは、住宅向けのアフターメンテナンスサービスとして「設備保証」、「コールサービス」、「顧客管理システム」の3つの販売を開始した。アフター分野を一括カバーすることで、24年問題に向けて住宅事業者の業務負担軽減を図る。
現在、わが国は少子高齢化による労働人口の不足や長時間労働の蔓延など深刻な労働問題を抱えている。特に、休日・時間外労働が多い建設業界ではこの傾向が顕著だ。(一社)日本建設業連合会によると、2020年の建設業の実労働平均時間は年間2013時間と、全産業平均の1685時間と比較して約1.2倍となっているほか、次世代の担い手である29歳以下の労働者の割合が全体の約1割程度にしか満たないなど、将来的な事業の継続・技術の継承にも暗雲が立ち込める。
こうしたなか、国は2018年に「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(働き方改革関連法案)」を可決し、2019年から企業規模・業種別に段階的に施行してきた。そして、いよいよ2024年4月から建設業にもこの法律が適用される。最も大きな変化は「時間外労働時間の上限規制」の適用だろう。原則として月45時間かつ年間360時間の上限が罰則付きで法律に規定される。
しかし、同社の調査によれば「時間外労働勤務に対して適切な管理・対処ができている」とした事業者は約6割、「週休2日制を全社的に導入できている」は約5割。未だ半数近くが対応を迫られているのが現状であり、「建設業の2024年問題」と呼ばれている。
一方、昨今ではエネルギーや資材価格の高騰に伴い住宅価格が高騰、市場の冷え込みが広がりつつある。そのため、住宅供給者各社は他社との差別化を図ろうと住宅の高付加価値化の手段を模索しており、そのひとつのかたちとしてアフターサービスの充実を重視する企業が増えている。
これまで住宅事業者向けに地盤調査と建物検査を行ってきた同社は、こうした2024年問題への対応に遅れが出ている事業者を支援し、業務負担を軽減しようとアフターメンテナンスサポートの販売を4月から開始した。「設備保証」、「コールサービス」、「顧客管理システム」の3つをパッケージ提案し、住宅事業者向けに販売。建物や住宅設備に関する相談の受付から課題の解決、その後の顧客情報管理に至るまでを一気通貫で対応する。また、それぞれのサービスの単体販売も行う。
「設備保証」では、通常のメーカー保証が2年のところ、引渡日までに設置した住宅設備についてメーカー保証と同等のサービス内容で10年まで延長。不具合の問い合わせ対応から修理対応までを代行し、期間中は何度でも修理が無料となる。保証対象品目は、標準プランがシステムキッチン、システムバス、洗面化粧台、給湯器、温水洗浄便座(2台)の5機種6台で、価格は7万5000円。分譲マンションを含む集合住宅向けタイプや戸建、集合住宅のリフォーム向けタイプも用意しているほか、オプションで24時間換気システムやエアコン、床暖房などにも対応する。
「コールサービス」は、住まいのトラブルに特化したコールセンターが総合窓口として施主からの問い合わせの一次対応を行う。24時間365日受け付けているため、住宅事業者の営業時間外や定休日などの問い合わせでも迅速な対応が可能だ。初期登録費は10万円だが、以後は使った分だけ費用を支払う段階性のワンプランのため、使わなかった月は請求が発生しないなど無駄のない料金設定となっている。
また、オプションとして「駆け付けサービス」も展開しており、1件当たり2万円で水回りのトラブルや鍵の紛失時などの玄関の開錠、窓ガラスの破損、エアコン・給湯器の故障などについて、専門の修理会社を手配のうえ、応急処置を行う。
「顧客管理システム」では、顧客ごとの問い合わせや対応状況など、自社で正確に管理することが難しい応対履歴をコールセンターのオペレーターがリアルタイムで更新し、一元管理する。
図面情報や契約書などを住宅事業者や施主と共有することもできる。基本的には「設備保証」や「コールサービス」とセットで提供しており、これらを導入している事業者は無料で利用が可能だ。
「設備保証」に関しては昨年10月から単独で先行販売を行っており、これまでに300社と契約し、好評を得ているという。
申込はWEBから受け付けており、地盤調査を申し込み済みの物件は物件情報などが引き継げるため、簡単に申し込むことができるほか、地盤調査との組み合わせで割引が受けられることが強みとなっている。「実際に、簡単に申し込むことができることが業務効率化になっており、現場にも喜ばれている」(事業開発本部・田生裕典副本部長)。
「アフターサービスは生涯顧客化を図るうえで重要な分野であるが、手厚いサービスを提供したいという思いがある一方で、業務としては忙しく、1件ごとに細かな対応をしていくことが難しいという葛藤を抱えている。こうしたアフター分野の煩雑な部分を当社が一気通貫でサポートし、事業者が本当にやりたいことをやれる業務体系づくりに貢献していきたい」(田生副本部長)考えだ。
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