地方と都市間の転入・転出数を均衡へ デジタルの力で課題解決、魅力向上を
岡田直樹 デジタル田園都市国家構想担当大臣
観光経済新聞、塗料報知、農村ニュース、ハウジング・トリビューンの4紙誌は、2023年度共同キャンペーン「地方創生へ『デジタル田園都市国家構想』で未来を拓く」を今号から展開。
同構想による観光業、農業、住宅・建設業などへの影響について各紙誌の視点で解説するとともに、特別企画として岡田直樹・デジタル田園都市国家構想担当相に「『デジ田構想』による地方創生の実現に向けて」をテーマに話をうかがった。(インタビューは3月7日、大臣室で実施)
──地方において少子高齢化、過疎化、産業の空洞化が進む一方、官民の力で課題解決に成果を上げている自治体も見られる。今の地方の状況を大臣はどう捉えているか。
政府による地方創生の取り組みは2014年にスタートして以来、多岐にわたる施策を推進し、創意工夫を生かした取り組みを全国各地で進めてきた。
こうした取り組みが一定の成果を得た一方で、地方では引き続き人口減少、少子高齢化、地域産業の空洞化といった社会問題に直面している。
新型コロナの感染拡大で、人の移動や対面による活動が制限され、社会的、経済的に大きな影響を受けたが、地方移住への関心の高まりやデジタル技術活用の急速な進展など、社会情勢がこれまでとは大きく変化している。
このような中、政府としては、従来の地方創生の取り組みを大事にしながら、デジタルの力を活用した地方の課題解決、魅力向上の取り組みを加速化、深化させようとしている。
地方公共団体によって取り組みに濃淡があるのも実情だが、地域の社会課題解決や魅力向上を急がねば、地方創生は成果を上げられないと考えている。
先駆的な取り組みでは、例えば、国家戦略特区の「スーパーシティ」に指定された茨城県つくば市では、民間企業と提携したドローンや自動配送ロボットの活用など、最先端技術を実装した住民中心のスーパーシティを目指している。
徳島県の神山町はいわゆる中山間地域だが、サテライトオフィスを整備したり、県外から多くの若者、アーティストを呼び込んだりと、多様な人材を集めている。企業版ふるさと納税などで町外の応援団の力も得て、国内約20年ぶりの新設高等専門学校である「神山まるごと高専」を今年開校するなど、独自の取り組みで成果を上げている。
地域によって抱える課題や状況も異なり、目指す方向もさまざまだが、首長のリーダーシップのもと創意工夫をし、産官学が連携し、課題解決に向けた取り組みを期待している。
──デジタル技術の活用で地域活性化を図るという「デジタル田園都市国家構想」について、その意義と具体的な取り組みを改めて。
人口減少や少子高齢化により、仕事、交通、教育、医療をはじめとして、地方には様々な社会課題が生じているが、これらをマイナスとのみ捉えるのではなく、デジタルの力によって、むしろ成長の原動力としていくことが重要だ。
新たな構想に至った最大のきっかけは、やはりコロナ禍だ。コロナに直面した日本は、感染状況の把握やワクチン接種の状況などの医療面、給付金のお届けやデジタルクーポンなど住民サービスの面でも、デジタル化を加速させるDXの必要性、緊急性を痛感した。
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