2023.4.20

ポラスグループ ポラテック、ポラテック九州を設立 4子会社体制に

農耕型経営で地域に根付きシェア拡大

ポラスグループでプレカット事業を展開するポラテック九州(佐賀県唐津市、中内晃次郎代表)は2023年3月、ポラテック西日本の九州地域のプレカット事業を承継し事業を開始した。九州地域でのプレカットシェア拡大を目指す。

「住宅産業及び地域への貢献を目指し、現地採用による人員拡充と生産拡大に取り組んでいく」と話す北大路専務

ポラスグループの基幹会社の一つであるポラテック(埼玉県越谷市)は、国内6カ所にプレカット工場を保有し、プレカット加工、供給量においてシェアトップの実績を誇る。2021年度の売上高は1007億円。ポラテック及び関連3子会社、ポラテック東北(宮城県加美郡加美町)、ポラテック富士(静岡県富士市)、ポラテック西日本(滋賀県甲賀市)の合計の生産実績は、構造材125万3521坪(※1棟当たり34坪換算で3万6860棟)、羽柄材85万6934坪、合板67万4727坪。生産したプレカット材の約1割をポラスグループで使用し、約9割を地域の建築・住宅会社などに供給、販売している。

2017年7月、ポラテック西日本の九州エリアのプレカット事業として佐賀工場(レインボーフィールド)を開設した。そして、佐賀工場開設から5年以上が経過した今回のタイミングで、ポラテック九州を設立、4子会社体制とした。ポラテック西日本の九州地域の事業を分割・承継し、九州地域の企業として拠点を構える。プレカット事業を通じて、九州エリアの木材事業者、流通事業者、住宅会社など、取引事業者を一層支援し、さらなる事業拡大を目指す。

ポラテックの北大路康信専務は、「販売の拡大だけでなく、ポラスグループとして創業以来培ってきた地域密着・農耕型経営の考え方で、九州地域での雇用の創出、関連事業者との共存共栄により、住宅産業及び地域に貢献していきたい」と話す。

3200棟分のプレカット材を供給
国産材比率は6割

佐賀工場(レインボーフィールド)空撮 手前が第二工場
佐賀工場には最新のプレカット加工機を導入。住宅会社の要望にきめ細かく対応する

2017年7月に佐賀工場第一工場(建物面積1万2137㎡)の稼働を開始、2021年6月に第二工場の稼働を開始した。ファクトリーオートメーションを進め、最新の5軸加工機などを導入し、プレカット材の大量生産を可能にしている。工場従業員45人、構造設計者11人の56人が勤務する。月産の最大生産能力は、構造材加工が1万7500坪、羽柄材加工が1万2000坪、合板加工が8700坪。2021年度の生産実績は、構造材が1万8964坪、(※1棟当たり34坪換算で3200棟)、羽柄材が7万3198坪、合板が4万4697坪。福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県に加えて山口県などの住宅会社約280社と取引きし、プレカット材を供給している。

また、佐賀工場では、国産材活用が進み、国産材6割、輸入材が4割となっている。九州には、国産材を扱う集成材や製材事業者が多く、スギをはじめマツ、カラマツなどの集成材の他、KD材の活用が増えている。

実績生かし営業提案を強化
23年度は前年度比4割増に

ポラテック九州を立ち上げ、ポラスグループ初の九州に本社を置く企業として、営業活動をさらに強化し、シェア拡大を目指す。プレカット材を外販する営業スタッフは福岡に13人、熊本に7人いる。「ポラスグループとして、住宅会社としての実績、ノウハウを持っている。木材の特性を知り、実績に裏付けされた経験を生かして木材の優位性を提案し、各住宅会社の要望にきめ細かく対応していくことで、さらに営業提案を強化していく」考えだ。

2022年度時点で、九州エリアの在来軸組工法住宅におけるプレカット加工、供給量のシェアは6%、販売棟数は3088棟であった。福岡ではシェア9.3%、熊本ではシェア6・2%となっている。

これを営業提案の強化により、2023年度、前年度比4割増となる4400棟のプレカット材の供給、シェア8.5%の達成を目指す。福岡でシェア13%、熊本でシェア10%まで引き上げる目標を掲げる。また、事業拡大に伴い、ポラテック九州の従業員数を現在の78人から、2027年までに110人に拡大する。

4号特例縮小も追い風
構造計算で住宅会社を支援

2025年4月の省エネ基準の適合義務化と合わせて、4号特例の縮小が予定されていることも、追い風と捉える。木造2階建て、200㎡超の木造平屋建ては、新たに構造関係規定などの図書の提出が必要になり、住宅会社は対応が求められる。ポラスグループでは、供給する住宅の構造計算を必須としている。また、ポラテックでは、国内13拠点にCADオペレーターが在籍し、中国とベトナムのCADセンターと連携して、プレカット加工用データをそのまま運用する構造計算を実施。構造計算図とプレカット木材が一致する。さらに、三次元立体解析にも対応できる体制を整備。スキップフロアや斜めプランなど、高精度の構造計算を行うことも可能だ。こうした構造計算に関するノウハウを持つ強みを生かして住宅会社をサポートし、プレカット材の販売拡大につなげる考えだ。