三井不動産、災害時の「対応力強化」を支援する新会社
災害を疑似体験し有効な行動を見える化
災害時の「対応力強化」支援に特化した新会社アンドレジリエンスを設立した。独自のデジタル訓練サービスを企業に提供し災害時の行動力強化を促す。
三井不動産は2022年3月、災害対応力強化を支援する定額・会員制サービス「&Resilience」の提供を開始した。これまで非効率的だった「計画策定後の運用フェーズ」における事業継続力強化のマネジメントサイクルを、専門性の高いパートナーコンサルタントが年間を通じて伴走サポートする。
「不動産業そのもののイノベーション」を全社的に推進していくための三井不動産グループの事業提案制度「MAG!C」により生まれた新規事業となる。三井不動産の災害対応ノウハウと、フューチャー(東京都品川区、金丸恭文CEO)のITコンサルティング力を掛け合わせ、災害時の「対応力強化」を支援する。
1年間のサービス提供の実績を踏まえ、今回、新会社アンドレジリエンスの新設とともに、2023年3月より、災害時の行動力強化を支援するデジタル訓練サービス「&Resilience」を拡充し、より多くの日本企業のBCP(事業継続計画)における課題解決を目指す。
計画倒れのBCPから脱却
年2回、見える化訓練を受講
防災白書(令和4年)によると、東日本大震災を背景に民間企業における事業継続計画「BCP」の策定率は、大企業を中心に急速に増加し、2021年には70.8%が策定済みとなっている。しかし、計画策定の難しさや対策コストの問題から中小企業では策定済みが40.2%にとどまっている。
また、累計1000社、3000人以上が参加した「&Resilience」の訓練データを基にした調査によると、災害時に備えて「備蓄等の事前対策が行われている」割合は、大企業が70%、中小企業が48%と、中小企業に比べ大企業が進んでいる状況にあるのに対して、災害発生後の行動を想定した「訓練を繰り返し、改善を図る活動」の実施状況については、大企業でも約半数にとどまり、「&Resilience」の独自評価指標においては、大企業・中小企業いずれも災害発生後の「行動力」が、「災害時に大混乱に陥り、人命安全確保も十分に必要な対応ができない」との評価に該当する50点前後にあることが判明した。
アンドレジリエンスの伏木宏之代表取締役社長は、「『BCP』という概念の曖昧さやとっつきにくさが、取り組みへの障害になっている。形式論が先行し、『計画倒れ』、『マニュアル頼み』に陥ってしまいがちな災害対応力強化の取り組みの変革を目指していきたい」と話す。「&Resilience」では、まず、「脆弱性診断」を行い、問診への回答により、事前対策の進捗度を可視化する。また、実際に災害が発生した際の様々な状況を想定したシナリオ動画をオンラインで視聴し災害を疑似体験する「見える化訓練」により、“経験値の深化”“訓練の必要性についての気づき(モチベーション醸成)”“災害発生時の行動力の可視化”を促す。「脆弱性診断」、「見える化訓練」を通じて、BCPにおける課題を抽出し、継続的に改善することで、より実践的な災害時の行動力強化につなげていく。明らかとなった「課題」と「対策」の進捗状況を、ITツールで効率的に管理することも可能だ。利用料は年額30万円。中小企業は、企業単位で、大企業では部署、部門単位で、年2回、見える化訓練を受講できる。2023年秋にはオンデマンド型サービスを開始する予定。スマートフォンで、社員各自の都合に合わせ受講できる環境を整備する。
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