ウイング 2×4建築パネルで第1号、アパートを建設
パネル化効果を検証しさらなる高度工業化へ
2×4コンポーネント、国内大手のウイングは、千葉市稲毛区で、2×4建築パネルによる第1号目となる集合住宅を建設した。パネル化効果を検証し、さらなる高度工業化へつなげていく。
2022年12月、ウイングとウッドステーションは、2×4工法の分野において、サッシや断熱材まで組み込んだ2×4建築パネル化を推進する目的で業務提携を締結した。一見、2×4工法は、規格化が進み、パネル化による現場施工の合理化、工業化が進んでいるように見えるが、現状では、2×4大工が、現場で構造材をつなぎ、壁の枠組みをつくり、構造用面材を貼り、構造躯体を組み上げることが多い。ウイングの橋本宰常務は、「年間に数か月、繁忙期に、工期が間に合わないという理由で、工場で枠組み、構造用面材を一体化したパネルを用いることもあるが、現状では、大工の手間賃が安すぎるため、工場でパネル化するよりも、現場でやったほうが安く済む。また、分業が進み、自社の範囲を超えてまでリスクを引き受けようとする事業者も少ない」と指摘する。しかし、職人不足の問題は、2×4工法の分野でも深刻化している。「現状の安すぎる手間賃のまま2×4大工を確保していくことは困難」(橋本常務)。また、「物流の2024年問題」も迫っている。働き方改革関連法により、2024年4月から「自動車運転業務における時間外労働時間の上限規制」が適用される。「住宅を建てたいという需要はあっても、つくれない、運べないという時代がすぐそこまで来ている。2023年は大きな転換期にある」と話す。
こうした背景がある中で、ウッドステーションとの業務提携を結び、2×4分野でのパネル化、工業化の取り組みを急ぐ。「大工の手間賃が安いほど、安くて済むと、工業化は進まない。しかし、今後、つくり手の育成をないがしろにしてきたツケが回り、大工不足が深刻化し、現場施工を担う人材が不足し、ブルーカラーの価値、つくり手の価値は上がっていく。その結果、工業化のニーズ、価値も高まっていく」と見る。
今回、千葉市稲毛区で、2×4建築パネルによる第一号物件となる集合住宅、建築面積100坪、14部屋の2階建てアパートを建設した。ウッドステーションが組織化する、大型パネルの生産パートナーの会員で、2022年夏に稼働を開始した千葉県のモックの大型パネル生産工場で、2×4建築パネルを製造し、現場に搬入し上棟した。基礎の打設含め、通常、約1か月かかる工期を3日に短縮。上棟のみの工事は1日程度で完了した。高い施工精度を誇り、工事は想定よりも早く進んだという。実際の上棟により得られた効果を検証し、さらなる高度工業化につなげていく考えだ。
また、在来軸組工法、2×4工法、それぞれに対応した兼用ラインを持つパネル生産のサテライト工場を全国に増やしていく。サテライト工場を核として、各地域で、川上から川下の事業者が連携するサプライチェーンを構築し利益が循環する仕組みを構築していきたい考えだ。
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