税理士と語るインボイス対応成功の鍵

法改正をきっかけに工務店が今取り組むべきDXとは?

アバター画像  Presented by アンドパッド

いよいよ2023年10月からスタートするインボイス制度。住宅業界はこの制度にどう対応していくべきなのか―。辻・本郷 税理士法人の税理士である菊池典明氏と、アンドパッドERP&EDI事業部の渡部耕太郎部長に、お話を伺った。

アンドパッド
SaaS戦略本部 ERP&EDI事業部
部長 渡部 耕太郎 氏
現場の効率化から経営改善まで一元管理できるシェアNo.1※ クラウド型建設プロジェクト管理サービス「ANDPAD」の開発提供を行う。インボイス制度や電子帳簿保存法など、適法性を重視した開発を行っている。
※「クラウド型施工管理サービスの市場動向とベンダーシェア」(デロイト トーマツ ミック経済研究所調べ)
辻・本郷 税理士法人
DX事業推進室
税理士 菊池 典明 氏
北海道から沖縄まで全国57支部、職員1400人(グループ会社含む)を擁する国内最大規模の税理士法人。約2000社の建設会社の業務改善に携わる。

法改正対応への取り組みには温度差が発生

渡部 工務店の方々のインボイス制度への対応を見ていると、取り組みの差が明確になっている印象があります。課題意識が高い工務店の方々は既に何らかの対応策を講じようとしていますが、制度開始後の経営や業務負荷への影響について認識が少なく、検討さえ未着手の企業もあります。

菊池 渡部さんと同感です。特に中小企業の皆さんは、会社によって差が顕著です。しかし、インボイス制度は、中小企業の経営にこそ大きな影響をもたらすことが想定できます。

なぜなら中小企業の場合、免税事業者との取引が多く、自社の納税額へ与える影響が大きい。むしろ、いち早く対応に着手すべきとも言えます。

まず取り組むべきは取引先の状況把握と対応優先順位づけ

渡部 既に対応に着手している工務店の方々は、協力会社を集めた会合などでインボイス制度に関する説明などを行っています。当社では、インボイス制度の対応方法などをわかりやすくまとめた資料やセミナーを提供し、こうした工務店の方々に活用してもらっているところですが、菊池さんは何から手を付けるべきだとお考えですか。

菊池 まずは丁寧に協力会社の方々に説明することが大事だと考えています。これまで消費税を支払ってこなかった事業者の方々にとっては、内容の理解や手続きはハードルが高い。そこで、先の税制改正で発表された課税事業者への転換から2年間の消費税納税負担額の緩和や申告の簡易化といった情報提供を行い、取引先の心理的な負荷を下げることも重要だと考えます。とはいえ、1社1社に個別に対応するのは元請会社の方々は多くの労力がかかることかと思います。

そこで私は、まずはどの会社と、どのくらいの額の取引をしているか情報整理し、その上で優先順位を付けながら説明をしていくことが大事だと考えています。最初から100点を狙うのではなく、70点くらいを目指していくのです。10月の制度開始から6年間の間には一部税額控除の経過措置が設定されていますので、この期間をうまく利用することができます。

70点を目指したインボイス制度への対応方針とは?

渡部 70点を目指すとなると、適格請求書と非適格請求書が併存し、元請会社側の請求書受領・確認の経理業務が煩雑になることが想定されますよね。協力会社によって税額控除の対象かどうか、この請求書はインボイスであるかどうかを1枚1枚確認する必要があり、業務負荷が極めて高くなってしまう。

菊池 その通りです。インボイス制度では、これまで以上に記載・確認すべき項目が多くなります。

デジタル化による業務負荷の軽減がマストに
(菊池税理士)

例えば、インボイスの要件として、必ず登録番号が記載されていないといけません。しかも、その番号が間違っていないかを元請会社の経理担当が確認する必要があります。それ以外にも記載要件があり、その要件を満たした請求書等を協力会社の方々から発行してもらう必要があるのです。

消費税の端数処理などのルールも変わるため、元請会社の経理担当者は要件を満たした請求書で、新しいルールに適合しているのかといった確認作業も行うことになります。さらに、今までは受領側で行えた請求書の修正は不可となった上、発行側・受領側では原則7年間の保管義務が発生します。

こうしたことを考慮すると、インボイス制度へ対応するためには、何らかのシステムを導入し、業務のデジタル化を図ることがマストではないかと思います。また、その際には2024年の1月に宥恕期間が終了する電子帳簿保存法についての対策も合わせて検討されるのが重要です。実際に、私どものお客様でも電子帳簿保存法への対応も合わせた検討をご相談いただくことが増えております。

渡部 私も同感です。手前みそにはなりますが、当社が提供するクラウド型建設プロジェクト管理サービス「ANDPAD」では、インボイス制度・電子帳簿保存法へ対応した機能開発を進めています。国税庁のデータベースと連携する形で協力会社の登録番号の正誤チェックをシステム化、加えて、インボイス制度開始後は登録番号がANDPAD受発注で発行する適格請求書のフォーマットに反映されます。元請会社の業務負担を軽減できるだけでなく、協力会社も請求書のひな型を新たに用意するといった手間なくインボイス制度だけでなく電子帳簿保存法にも対応できます。

インボイス制度は、業務のデジタル化やDXを進める好機だと捉えることができます。菊池さんがご指摘されたように、インボイス対応を図るためには、何らかのシステムを導入することが不可欠でしょう。さらに、2024年4月から建設業界でも残業時間の上限規制が適用になるので、働き方改革も進めないといけない。こうした状況下で、新たに業務負荷を増やすことは現実的ではありません。

生産性や競争力を高める好機だと捉えての対応を
(渡部部長)

菊池 職業柄、中小企業の方々からの相談を受けることが多いのですが、最近、経理担当者の方が退職して後任が見つからないという相談が増えています。また、経理の方が様々な業務を兼務しており、なおかつ業務が属人化しているので、スムーズな引き継ぎができないというお話を耳にすることも多いですね。

デジタル化とともに業務の標準化を進め、経験が少ない経理担当者でも対応できる体制を構築していくことが、持続可能な経営を行ううえでも重要ではないでしょうか。

渡部 元請会社の方々にとっては、インボイス制度は必ず対応すべきことです。我々は、デジタル化を進めるのであれば、今回を契機に、業務全体の生産性や競争力を高めるDXに取り組んで欲しいと考えており、ANDPADにそのための機能を拡充させているところです。今こそDXに向けた一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。アンドパッドでは、そうした工務店、協力会社のみなさまを全力でサポートしていきます。

株式会社アンドパッド
TEL03-6831-4551
https://andpad.jp/