2023.2.21

(一財)住宅・建築SDGs推進センター、SDGs建築賞を発表

SDGsを先導する意欲的な建築11作品が受賞

(一財)住宅・建築SDGs推進センターが、第1回SDGs建築賞の受賞作品を発表し、表彰式を行った。応募総数34件の中から、建設業界のSDGsを先導する意欲的な11作品が受賞した。

開会のあいさつをする村上周三理事長

「第1回SDGs建築賞」の受賞作品を発表し、その表彰式を全国町村会館(東京都千代田区)で行った。現地審査を含む審査の結果、応募総数34件の中から国土交通大臣賞2件をはじめ、計11件が受賞した。

表彰式の開会に先立って、同財団の村上周三理事長は、「SDGsは建設業界でも喫緊の課題。この賞をきっかけに、SDGs建築がさらに広がっていくことを期待したい」とあいさつした。

SDGs建築賞は、建築として優れた作品であることはもちろん、SDGsの達成に向けた顕著な取り組みで、その普及がSDGs社会の実現に寄与すると期待される建築物に与えられる。こうした建築物を表彰することによって、それらに関する設計、施工及び運用管理技術などの向上と、建設業界への普及を図る狙いがある。
住宅を除く新築、増改築物件が対象で、第1回となる今回は、延べ床面積2000㎡以上の大規模建築部門と、中・小規模建築部門の2部門を設け、2022年5月から8月にかけて作品を募集した。

今回、最も優れた建築に与えられる国土交通大臣賞(大規模建築部門)は「早稲田大学37号館 早稲田アリーナ」(東京都新宿区)、同(中・小規模建築部門)は「戸田建設 筑波技術研究所 グリーンオフィス」(茨城県つくば市)が受賞した。そのほか、(一財)住宅・建築SDGs推進センター理事長賞は「トヨタ紡績グローバル社」など3件、審査委員会奨励賞は「垂井町役場」など6件が受賞した。

国土交通大臣賞を受賞した「早稲田大学37号館 早稲田アリーナ」

早稲田アリーナは、スポーツアリーナなどを内包する地上4階、地下2階の複合施設。地熱を利用した省エネ性と屋上部分を緑化したことが大きな特徴だ。また、学生だけでなく地域との交流の場としても活用することができ、建物性能と運用方法がSDGsの多くの項目と合致したことが評価された。

一方、筑波技術研究所は研究施設を職員用の事務所に改築した建物。真空ガラスによる高断熱化や太陽光発電設備、地熱熱源システムの導入など多種多様な技術を駆使してZEBを実現しているほか、壁面緑化をはじめとするバイオフィリックデザインの採用、換気窓とチムニーによる自然換気などのウェルビーイングへの取り組みが高く評価された。

審査委員会委員長を務めた慶應義塾大学の伊香賀俊治教授は、「今回受賞した建物はいずれも環境負荷を低減する優れた建築であり、それぞれの建物の特性を生かしたSDGsを先導するモデルとなる作品ばかりだった」と全体の講評を述べた。

また、表彰式の閉会に際しては同センターの阿部俊則会長が「学校や研究施設、オフィスなど多岐にわたる素晴らしい建築が揃い、第1回にふさわしい内容だった」と、今回の賞全体を振り返った。

なお、第2回の開催は2年後を予定しており、来年度は、「SDGs住宅賞」の作品募集を行うとした。