広がる“竹でつくる家” 安価な竹枠コンクリート住宅が災害多発国で増加

水口哲(みずぐち さとる)
コンクリートの家よりも竹の家の方が地震、台風に強いフリーランスでSpringer社書籍シリーズUrban Sustainability Transitionsを編集。
東京工業大学博士後期課程在籍
地震、台風、火事、虫害に強く、安価でありながら40年は住み続けられる。
そんなソーシャルハウジング(被災者や低所得者向けの住宅)が災害多発地域で増えている。
なかでもフィリピンでは来年までに1万戸の建設が予定されている。
自生する竹をフレーム材に使い、セメントや鉄、木材も使う。
建築基準法に竹を位置づける国が増加

昨年11月14日、国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP27、エジプト)に併設されたイベント会場に竹製住宅の実践者が集まった。竹は木よりも生育が早いうえ、建材としての強度も持つためアジア、アフリカ、ラテンアメリカの伝統的な住宅で使われてきた。他の材料を使った住宅よりも二酸化炭素排出量が少ないことも近年はメリットとして指摘される。外観の美しさもあり隈研吾やサイモン・ベレーツなどは、万博のパビリオンや富裕層の別荘に竹を多用している。
報告会では地震、台風の被害に悩む国々で現代住宅の建材としても使われだしていることが発表された。インド、ペルー、エクアドル、コロンビアは建築基準法に建材として位置付けた。フィリピン、ブラジル、メキシコも検討中だ。米カリフォルニア州は州の建築基準法に採用した。中国は集成材の素材として竹を規格化した。この分野でパイオニアとして20年以上も竹枠コンクリート技術(cement‐bamboo frame technology)の研究と普及に取り組んできたのがルイ・フィリッペ・ロペーツ氏(コロンビア出身のエンジニア)だ。
ルイはフィリピンで地震、台風、火事、虫害に強く、安価でありながら40年は住み続けられる低所得者向け住宅をこれまでに1200戸以上建設してきた。この過程で900人以上の技術者も育成してきた。竹枠コンクリート建築を標準化し、関係法令に位置付けるために必要な作業を土木技術者協会や森林製品研究開発機構と共同で行っている。彼にこれまでの経緯と現在の活動を聞いた。
コンクリートの家よりも竹の家の方が地震、台風に強い
──どんなきっかけで、竹を使った住宅に取り組むようになったのですか?
1999年のコロンビア大地震でコンクリート製の近代的な住宅の大半が崩壊しました。一方で、竹を利用した伝統住宅の多くは残り、住み続けることができました。コンクリートよりも竹の方が地震に強いのかと興味を持ちました。当時私はコロンビア国立大学で土木工学を専攻する学生でしたが、どんな住宅が地震に強いのかという比較調査を指導教授に提案し、政府が資金を出してくれて、竹を使いより地震に強い住宅の研究を始めることができました。
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