2023.1.10

脱炭素化の実現に向け加速する断熱化 性能表示の上位等級創設で広がる市場

拡大必須の注目マーケット 高断熱化市場

住宅の省エネ化をめぐる制度が大きく変わりつつあるなか、住宅の断熱化が大きく進み始めている。
性能表示制度で断熱等性能等級5、6、7が相次いで打ち出されるなか、断熱性向上による市場拡大に注目が集まる。

2023年にもっとも大きく動きそうな市場が住宅の高断熱化であろう。

2020年10月、政府が2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」を目指すと宣言した。以降、住宅分野において、さまざまな議論、検討が進められ、2022年には法改正をはじめとする制度の枠組みが整えられた。こうした動きと並行して、住宅産業界でもさまざまな取り組みが進み始めている。2023年は、こうした動きがさらに加速し、実際の市場のなかで2050年の住宅のあるべき姿が浮き彫りになってくるのではないだろうか。

住宅の省エネ性能をさらに高めていくためには、構造躯体の断熱化、省エネ設備の導入、再生可能エネルギーの導入などがキーワードとなるが、そのベースとなるのが構造躯体の断熱化であることは間違いない。2022年は、この住宅の断熱性能の向上に関する新たな枠組みが整った年である。

まず、建築物省エネ法の改正により、2025年までに省エネ基準への適合を義務化することが決まった。もともと2020年度の適合義務化が予定されていたが、特に中小事業者の適合割合が低いことなどを理由に見送られた経緯がある。住宅の省エネ化を進めるうえで、そのボトムアップは最初に手掛ける第一歩であり、住宅性能表示制度の断熱等性能等級4が日本の住宅の省エネ性能の最低ラインとなる。さらに、この基準を段階的に引き上げ、2030年度以降に建てられる住宅はZEHレベルへの適合を求める予定だ。

もう一つ大きい制度変更が住宅性能表示制度である。2022年4月に断熱等性能等級に新たに等級5(ZEHレベル)が加わり、さらに10月には断熱等性能等級6、7が創設された。省エネ基準の適合義務化が決まったことで、これまで最高等級だった等級4はクリアしなければならない最低基準となり、次に目指すべき等級5が示されたわけだ。さらに住宅の省エネ性能を高めていく目安として等級6、7という一歩、二歩先の姿がクリアになった。

実際、省エネ基準への適合は言うまでもなく、数年後に迫るZEHレベルへの取り組みが必須となり、さらに先進的な住宅づくりに取り組む住宅事業者は差別化の意味からも上のレベルを目指す、そんな動きが始まっている。


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