変容するキッチン空間の在り方
今求められるキッチンとは?
昨今、コロナ禍などを経て在宅ワークやデジタル空間の活用などが一般に普及し、人々の生活スタイルは大きく変化した。在宅時間が増える中で、家中での暮らしをより良いものにしたいという住環境に関するニーズが急速に高まっている。
こうしたニーズの変化が顕著に表れているのがキッチン空間だ。不動産事業を展開するAlba Link(東京都江東区)が2021年に全国の男女500人を対象に実施した「リフォーム・リノベーションしたい場所に関する意識調査」では、キッチンは浴室に次ぐ2位となっている。また、クリナップの研究部門である「おいしい暮らし研究所」が「食、物、空間」をテーマに様々な切り口から生活者の今を調査し、公表している「キッチン白書」によれば、コロナ禍前後で料理をする人は平日・休日ともに増加傾向にあり、特に20~30代の若年層で顕著に増えている。
こうした潮流を受け、キッチンメーカー各社は、商品の拡充・刷新に注力している。
中高級層向けの販売が好調
変化した暮らしのニーズに対応
人気を集めているのが中高級層向けのシステムキッチンだ。トクラス企画開発部の高山忠久プロデューサーは「多少高くても、より質の高いキッチンを求めるお客様が増加しており、料理を楽しみたいという方が増えている」と話す。
同社は2022年9月、中高級層向けのシステムキッチン「Berry(ベリー)」を刷新し、「Collagia(コラージア)」を発売した。中高級層向けキッチンの刷新は実に18年ぶりのことで、在宅時間の増加によって変化したキッチン空間の在り方に対応した。同社によれば、「コロナ禍の外出自粛後、家庭での料理参加人数が増えた」と回答した人は34.4%、「家庭で一緒に料理を作って楽しみたい」と回答した人は67.8%に上り、キッチンは家族全員が過ごしやすい空間であることが望まれるようになった。コラージアのコンセプトは「家族の”ひととき”を楽しむキッチン」。機能面では折り畳み式のプレートとラックでシンク上も調理スペースとして活用可能にした「スムースワークシンク」の導入など、調理を助ける便利機能を多数搭載しており、発売初年度に1700台、翌年度には8000台の販売目標を掲げている。
中高級シリーズを刷新しているのはトクラスだけではない。
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