2022.11.9

良品計画 Airbnbと連携、宿泊を通じた地域活性化を目指す

第一弾として北海道清水町の移住体験施設をリノベ

地域に根ざした事業の強化を推進している良品計画が、Airbnb Japanと包括連携協定を締結。空き家や未利用不動産の共同プロデュースを通した地域活性化に取り組む。

無印良品の家具で空間デザインされた清水町の移住体験施設

良品計画は、旅行コミュニティプラットフォームAirbnbの日本法人であるAirbnb Japan(東京都新宿区、田邉泰之代表取締役社長)と2022年9月に包括連携協定を締結。全国の遊休不動産や自治体が所有・管理する施設などの共同プロデュースを行う。ホームシェアを通じた地域活性化を目指すAirbnb Japanが、より質の高い滞在施設の普及を進めるなかで、地域活性化への取り組みにも力を入れ、これまでも民泊へのインテリア提案やリノベーションを行ってきた良品計画に呼び掛けて連携に至った。

第一弾として北海道清水町の移住体験施設のインテリアコーディネートおよびリノベーションを実施。Airbnb Japanは、今年6月に北海道清水町と包括連携を結んでおり、町内の遊休不動産や町営住宅を民泊に活用して地域経済を活性化することを柱のひとつとしていた。良品計画は、町の移住体験施設3軒をインテリアコーディネート及びリノベーションすることで建物の価値向上に努める。先行して、インテリアコーディネートをメインに行った施設2軒の予約を開始し、残り1軒は内装を含めたリノベーションを行い来年中の予約開始を予定する。

今後も、全国的に空き家や地域活用されていない不動産などを利用した宿泊事業を協働し、移住や宿泊による関係人口の創出をねらう。例えば、移住体験として食と農を軸として、農業体験や収穫物を利用した商品の開発などを行い、地域の人との交流をつくることなどを検討する。

良品計画は、2021年に宮崎県日南市で「やさしい移住」をテーマに、移住体験のデザインを含めた移住体験施設のリノベーションも行っており、Airbnb Japanとの取り組みにおいても知見を生かしている。

地域に密着した事業構築を表明
地方と都市部をつなげる活動を強化

同社は、2021年に発表した中期経営計画において「展開する店舗が、その地域のコミュニティセンターとしての役割を持ち、地域のステークホルダーの皆様と共に、地域課題に対して取り組み、地域への良いインパクトを実現すること」を企業の使命のひとつに掲げ、以前より行っていた地域に根ざした事業活動の取り組みを強化している。衣類、生活雑貨、食品といった商品をライフスタイルに昇華するため、地域ならではの商品や文化を取り入れた店舗の展開を進める。その一環として、地域の課題解決に向けたサービスや活動へも視野を広げ、移動販売や産直のECサイト「諸国良品」を通じた地域産品の全国展開や、都心店舗での地域産品のPR活動等を行っている。

一方で、ソーシャル事業部管掌役員の長田英知氏は「いかに地域住民が主体となってまちづくりをできるかがカギ」と、同社単独で行う地域づくりではなく、どのような地域にしていきたいかという住民の意見をもとに目指す将来像に向けて並走していきたいとする。