東急不動産×リノベる 築27年の企業社宅を一棟リノベし都市型賃貸に
既存の空間・素材を活用し暮らしをアップサイクル
東急不動産とリノべるは、東京都板橋区に建つ築27年、全76戸の企業社宅をリノベーションし、東急不動産初となるリノベーション都市型賃貸レジデンス「コンフォリア高島平」として竣工した。
「コンフォリア高島平」における事業主は東急不動産、プロジェクトマネジメントおよび総合企画、設計・監理・施工はリノベるが担当した。
東急不動産は、「COMFORIA(コンフォリア)」のブランドで都市型賃貸レジデンスを展開する。従来は一から同社が企画から開発まで担当する新築のみの展開であったが、今回初めてコンフォリアブランドで既存住宅のリノベーションに挑戦した。「中期経営計画の中で環境を起点とした事業機会の拡大を図る方針を示している。リノベーションは建替え新築に比べて、CO2削減、廃棄物削減につながり、環境負荷を大幅に削減できる。脱炭素社会、循環型社会の実現に向け、今回の取り組みは意義がある」(同社)。
2021年に旧社宅の既存物件を取得し、一棟リノベの実績がある複数の事業者が参加する設計者コンペを開催した結果、リノベるが最終選定された。リノベるはBtoCの事業も展開しており、コンペの企画案にターゲットとなるファミリー層、DINKsなどを意識した専有住戸の細かな工夫が盛り込まれていたこと、また、NTTグループの社宅の一棟リノベなど豊富な実績を持つことなどが選定の理由となった。
賑わい、コミュニティ創出狙い
既存建物の空地を街に開放
リノベるが今回の物件で提示したコンセプトは、〝暮らしのアップサイクル〟。「既存物件は、板材やフェンスなどで境界を明確に区切り、1階部分を中心に空地が多かった。こうした空地を街に開放するコンセプトをつくり設計に落とし込んだ」(リノベる)。既存躯体のみならず、改修により通常は廃材となる素材も生かし、住まう方の豊かな暮らしを実現するコンテンツを付加し、様々なコミュニティとつながり、環境にやさしく、暮らしを楽しめる住まいを具現化。全76戸の専有住戸プランの刷新と街とシームレスに繋がるランドスケープを実現した。
共用部については、既存の集会室、管理人事務室を、ワークスペース、プレイルーム、テレワークルームに改修。「子供が遊べる」、「仕事ができる」、「集まって落ち着くことができる」など、入居者が多様な過ごし方をできるスペースを、共用部を利用して創出した。
北棟と南棟の2棟の住戸棟に挟まれた、既存の人工地盤上の中には、キッズスペース、ドッグラン、菜園を設置。見通しの良い広々とした空間を生かし、多種のアクティビティが混ざりあう場とすることで、賑わいやコミュニティ創出を狙う。
既存駐車場の一部は、テナント区画として改修。店舗前のスペースには街とシームレスにつながる広場を設けた。テナントを誘致し、単なる広場ではなく街との結節点として機能することを期待する。
専有住戸については、ターゲットとするファミリー層、DINKsなどを想定して、5タイプの改修を行った。76戸中52戸と最も多いのは、ファミリー層をターゲットとした3LDK、専有面積75・60㎡のプランで、オープンキッチン化、LDの拡張などにより多様な暮らしへの対応を狙っている。南棟妻側の高層階には、フレキシブルな利用を促進するため、広いLDKを設けた1LDK、75・60㎡のプランを用意。他タイプと比較して、無垢フローリング、磁器質タイルなどマテリアルの高グレード化も図った。賃料は17万円台~22万円台。
なお、全戸、ペット可の住居エリアとなっている。コンフォリアでは、小型犬(猫2匹)まで室内で飼うことができたが、今回の「コンフォリア高島平」では、大型犬にまで対応するペット特化住戸も用意している。居住エリアに加え、共有部の中庭にはドッグランを配置。空の下でのびのびと運動できる空間を兼ね備えた。さらに、テナント区画にはペット専用ランドリーを備えたコインランドリーが11月に開業する。
環境負荷低減へ
間伐材を利用、断熱リノベも
間伐材の有効活用や、専有住戸の断熱リノベなどにより、環境に配慮した取り組みも行った。共有部、専有部には、東急不動産ホールディングス「緑をつなぐプロジェクト」の保全森林である岡山県西粟倉村の間伐材を専有部のインテリアや共用部のエクステリアとして有効活用している。
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