賃貸住宅の担うべき役割を再認識し社会インフラの充実に貢献していく

レオパレス21 宮尾文也 代表取締役社長

2018年に発覚した施工不備問題によって窮地に追い込まれたレオパレス21。宮尾文也社長の陣頭指揮のもと、施工不備があった物件の改修と並行し、事業のスリム化などを断行。2022年3月期には4期ぶりの黒字化を達成した。一時期は債務超過により上場廃止さえ現実味を帯びていたが、宮尾社長は「トンネルの出口は見えている」と社員を鼓舞し続けたという。「新生レオパレス21」に向けた考えを聞いた。

──2018年に発覚した施工不備問題ですが、どのような点に問題があったとお考えですか。

レオパレス21
宮尾 文也 代表取締役社長

問題が表面化したのは施工不備問題でしたが、社員へのヒアリングや調査委員会の報告などから、当社が抱えていた根本的な問題があったことが分かりました。分かりやすく表現すると、過剰な利益至上主義へ走った結果、当社が果たすべき社会的な役割を見失ってしまったのです。

営業部門では利益を得るために受注を得ていくが、施工の現場ではそれに対応できないというギャップも発生していました。さらには本部と各地の営業所との間でも意識のズレがあり、「本部がどのような方向に進もうとしているのか分からなかった」という声も聞かれました。

こうした状況が施工不備問題を生み出し、オーナーや居住者の方々、さらには社会全体にご迷惑をおかけしてしまった。この点については、今後も真摯に反省していくべきだと捉えています。

施工不備が確認された建物の改修については、2022年6月末までに約5万1000戸の改修工事が完了しています。今後は引き続き明らかな不備が予測される約3万7500戸について、2024年末までの解消を進めていく計画です。

タテ割りの組織を変革
コミュニケーションを充実

──人材不足などの影響もあり、営業部門と工事部門にギャップが生まれ、そのしわ寄せが施工現場に集まるという問題は住宅業界で散見されていますが、御社ではどのような改善策を講じたのでしょうか。

一言で言えば、コミュニケーションを密にとっていくことが重要だと考えました。それぞれの事業部がタテ割りでコミュニケーションを図るのではなく、営業、設計、工事といった異なる部門が横断的に情報を共有する体制を構築していきました。

また、本部が一方的に方針を決定するのではなく、ある程度の権限を各エリアに委譲し、エリア単位でも横ぐしを意識したコミュニケーションをとるようにしました。

──企業風土が変わってきている手ごたえはありますか。

間違いなくコミュニケーションは増えており、社内の雰囲気も変わってきています。ただ、会社自体が債務超過状況にありましたので、社員の意識が前向きになり難い状況にあったことも事実です。

私自身は「トンネルの出口は見えている」と社員に伝えてきました。ようやく黒字に転じることもでき、これから社員の意識も大きく変わっていくはずです。

法人契約が回復し入居率も改善
外国籍労働者の受け皿にも

──黒字化に転じた要因は。


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