2022.10.28

ダイドーハント、「フロッキン狭小壁」に新仕様を追加

国産スギの使用が可能に

ダイドーハントは同社が販売する「フロッキン狭小壁」にスギを使った新仕様を追加し、9月から販売を開始した。国産材利用の提案を可能にしたことで、製品選択の幅が広がった。

同社は建築金物メーカーの栗山百造(新潟県三条市、栗山政義代表取締役社長)と共同で「フロッキン金物構法」を開発、それを活用した「フロッキン狭小壁」を展開する。

「フロッキン金物構法」とは、ドリフトピンをハンマーで打ち込むだけの簡単施工と、金物の種類の少なさから取り付けミスを防止できる施工性に優れた構法。「フロッキン狭小壁」はこの構法を用いた耐力壁で、柱芯350㎜、全幅455㎜のコンパクトサイズながら、1階での使用で壁倍率7倍相当、2階、3階でも壁倍率5倍相当を実現する(仕様1)。一般的な耐力壁と比較して設置幅を取らないため、例えばビルトインガレージなどの大開口を狭小地で実現することができる。また、設計段階において、壁量が足りない時などに雑壁を「フロッキン狭小壁」に差し替えるなどの使い方をすることもでき、当初の意匠を大きく変更することなく構造設計をすることができる。

「フロッキン狭小壁」は高耐久とコンパクトサイズを両立する。今回、仕様を追加し、国産スギの利用を可能にした

この「フロッキン狭小壁」に今回、スギを使用した新仕様(仕様2、3)を追加し、9月から販売を開始した。仕様1では柱にスプルース集成材、梁にベイマツ構造用製材を使用していたが、仕様2、3では、国産材にこだわるメーカーなどの要望にも対応できるように、新たにスギの構造用製材や集成材を使用できるようにした。

仕様2は無垢材仕様で、柱材にはスギ機械等級区分構造用製材を使用。構造部材条件JAS規格E50以上、梁材で機械等級区分構造用製材のJAS規格E70以上とした。また、仕様3は集成材仕様で、柱材にはスギの同一等級構成集成材を使用。構造部材条件はJAS規格E65-F255以上E95-F315以下、梁材が対象異等級構成集成材のJAS規格E65-F225以上E105-F330以下となっている。対応階層は仕様2、3共に1階のみ。

壁倍率は、上部梁がフロッキン狭小壁上部を横断通過する中柱型標準納まりの2200~2600㎜の耐力壁で、仕様2が4.8倍相当、仕様3が6.1倍相当を発揮する。

同製品の開発背景にはウッドショックがある。ウッドショックにより、ベイマツをはじめとする外材の値段が急騰。加えて、指定した材料が確保しにくい状態も続いた。同社はこれに対応するため、「日本国内で確保しやすいスギを使用して耐力壁が作れないか」という考えのもと、新仕様の開発に着手した。

ウッドショックの頃から商品化の要望があったこともあり、9月の発売後、積極的に国産材利用を進めるメーカーなどからは好意的な意見が多く寄せられている。今後、国産材利用の増加が見込まれることから、同社では同仕様の販売を強化し、顧客の要望に応じて3製品の提案を使い分けていきたい考えだ。