2022.10.17

8月の持家は11.2%減 9カ月連続減少で長期化鮮明

大手ハウスメーカーの8月受注も軒並み不振

住宅資材全般の高騰が続く中で、住宅価格上昇の影響で住宅販売にブレーキがかかり、足元の新設住宅着工、特に持家は伸び悩む。

国土交通省が9月30日に公表した「建築着工統計調査」によると8月は、前年同月比4.6%増の7万7712戸で、4カ月ぶりの増加となった。貸家は同8.9%増の3万1295戸、分譲住宅は16.2%増の2万3172戸と好調に推移した一方、不振が続くのは持家で、同11.2%減の2万2291戸となり、9カ月連続で減少した。

注文住宅の受注失速の傾向は、住宅生産団体連合会の「経営者の住宅景況感調査」にも表れている。第1四半期(2022年4~6月)の注文住宅の景況感指数は、受注戸数でマイナス54ポイント、受注金額でマイナス27ポイントとなった。前回調査予測では戸数はマイナス14ポイント、金額は13ポイントを予測していたので、それぞれ見通しを約40ポイント下回ったことになる。会員企業からは、「資材高騰の影響を受け受注戸数は減少も一棟単価上昇により受注金額は微減」、「土地をお持ちでないお客様の割合が多い中、用地が品薄となり、一次取得者の受注割合が低下している」、「原材料高騰の更なるアップの前に駆け込み傾向が見られた」といった厳しいコメントが目立った。

第2四半期(2022年7~9月)の見通しについては、受注戸数マイナス43ポイント、受注金額マイナス27ポイントとなり、戸数は2期連続、金額は6期ぶりのマイナスとなる見通し。「住宅取得の支援策もあることから、前年同月よりは顧客は動いていると思われるが、急激な円安や物価高騰などによる景気の先行き不透明感は大きく、建築費の上昇と相まって、この状況が長期化すると、現行の支援策の効果を打ち消し、住宅市場が大きく冷え込む恐れがある」と警戒感は強まっている。

実際に、大手ハウスメーカーの8月の注文住宅の受注速報(金額ベース)によると、大和ハウス工業は前年同月比27%減、積水ハウスは同9%減、住友林業は同29%減、積水化学工業は同16%減(※棟数ベース)、旭化成ホームズは同9%減(※集合住宅を含む)、ミサワホームは同26%減、パナソニック ホームズは同32%減、三井ホームは同14%減となり、軒並み減少となった。「コロナ感染拡大による商談の遅れや、価格の見直しの影響も受けた」と、住宅価格見直しにより、駆け込み需要の増加と反動減が生じるケースも出てきている。

住宅資材の価格高騰も収まる気配はない。TOTOは10月からユニットバス・システムバスルーム(6~20%程度)などの価格改定を実施。サンゲツも10月から壁装材・床材などを7%〜12%値上げする。
住宅資材の高騰に伴う住宅価格の値上がりが続けば、消費マインド、住宅市場はさらに冷え込む恐れがありそうだ。