脱炭素、国際化、リフォームなど建材・設備業界の次なる成長につなげていく活動を
(一社)日本建材・住宅設備産業協会 専務理事 寺家克昌 氏
2000年代に入り、建材・設備業界を取り巻く環境は大きく変化してきた。脱炭素化、国際化、ストック市場の開拓、業務のデジタル化など、国内の新築市場に軸足を置いてきた事業形態からの大きな変革を求められてきたのだ。その傾向はコロナ禍を経てさらに加速しようとしている。建材・設備業界はどのような変革を促そうとしているのか。(一社)日本建材・住宅設備産業協会の寺家克昌専務理事に聞いた。
──(一社)日本建材・住宅設備産業協会についてお教えください。
1949年に(社)日本建設材料協会として発足し、1988年には(社)日本建材産業協会に改組しました。その後、2005年に(社)日本住宅設備システム協会の事業を引き継ぐ形で、(社)日本建材・住宅設備産業協会に改名し、2012年に一般社団法人へと移行したのです。
企業会員だけでなく、団体会員が多いことが当協会の特徴でもあり、業界の横断的課題や個々の団体や企業では対応が困難な課題に取り組んでいます。
国際標準化によって海外市場への参入を有利に
──現在の主な事業は。
主には「グリーン建材の国際標準化」、「IoT住宅の安全基準の国際標準化事業」、「リフォーム推進事業」、「カタラボ事業」、「ZEH・断熱材の普及促進事業」、「品質・環境事業」といった事業に取り組んでいます。
「グリーン建材の国際標準化事業」は、経済産業省の委託事業として行っているものです。省エネや省資源に貢献する建材や設備をグリーン建材と称して、海外での市場拡大を目指し、ISOやIEC(国際電気標準会議)などの国際標準の開発などを行っています。
建材・設備メーカーが海外市場で活躍するには、国際規格をめぐる競争で優位に立つことが重要になります。そこで、グリーン建材に関する国際的な標準規格をISOなどに提案する活動を進めているのです。これまでに「窓及びドアの断熱性能―日射熱取得率の測定」といった国際標準を提案し、ISOの発行につなげています。現在、ISOに遮熱塗料の日射侵入比測定方法、IECに温水洗浄便座の性能評価方法といった国際標準を提案している最中です。
JIS等のアジア諸国での国家規格化の支援にも取り組んでいます。とくにベトナムとインドネシアへの技術支援を実施しており、ベトナムでJISの屋根用高日射反射率塗料の国際規格化が進んでいるなど、着実に実績を残しています。
東南アジアの蒸暑地域では、同じような気候風土を持つ日本のJIS規格が参考になる部分が多い。これからの経済発展が見込まれている地域でもあるので、JIS等を国家規格化に採用してもらうメリットは大きいと考えています。
「IoT住宅の安全基準の国際標準化事業」については、ⅠoT住宅における住宅設備機器の連携システムの安全基準に関する国際標準などをIECに提案しています。「協調安全規格」という人と機械が協調することで安全性を確立していくための規格の作成も進めています。こうした分野の標準化については、日本が世界をリードしているという印象があります。
健康に資する建材・設備の基準も
──リフォームの推進に向けては、どのような活動を行っていますか。
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