2022.9.21

有機薄膜太陽電池が日本上陸

Looopがドイツ製の有機薄膜太陽電池を販売 超軽量・超薄型で壁や曲面に貼るだけ

太陽電池の第三世代、次世代型太陽電池として注目される有機薄膜太陽電池がいよいよ市場に投入される。Looopがドイツのヘリアテック社と国内の独占販売契約を結んだもので、壁面や曲面への設置など太陽光発電の導入拡大に注目が集まる。

再生可能エネルギーを中心としたエネルギーサービス会社であるLooopが有機薄膜太陽電池の研究開発における世界的なリーディングカンパニーであるHeliatek Gmbh(ドイツ・ザクセン州ドレスデン、ギド・ファン・タートヴェイクCEO)と、日本における独占的パートナーシップを締結した。

ヘリアテック社の有機薄膜太陽電池「Heliasol(ヘリアソル)」は有機半導体系、いわゆる次世代型太陽電池だ。非常に軽量で曲げることができる、また、環境負荷が低いことが大きな特徴。「シリコン系太陽電池の課題を解決する最終兵器として、日本で有機薄膜を進めていきたい」(中村創一郎 代表取締役CEO)と、IEC認証を取得次第、本格的な販売を開始する。年度内の見込みだ。

軽く柔軟性があることがヘリアソルの大きな特徴(左:Looop の中村CEO、右:ヘリアテックのギドCEO)

量産が可能な有機半導体系太陽電池の販売は日本初となる。わが国においては、経済産業省がペロブスカイト型太陽電池を次世代型の本命と位置づけその社会実装に向けて取り組みを進めているが、Looopは「ペロブスカイトの社会実装は2030年頃からとまだまだ時間がかかる。今、市場の関心が高まり、最短で投入できる商品が待ち望まれている」と、ヘリアソルの取り扱いの意味を語る。

課題はコスト。変換効率は8.5%で、販売価格は未定だが400~500円/Wと見込まれる。これはシリコン系の2009年頃の価格と同等程度であるという。「現状、シリコン系太陽電池と同じ土俵で戦う商品ではない。メガソーラーというよりも、壁面などこれまで使っていなかったような場所へ提案していきたい」と、新たな活用を提案していく。

販売は3つのルートを想定。一つは同社の発電所設計・建設(EPC)事業のなかでの提供、2つめが新たに募る代理店を通じた販売、そして同社の発電所での採用だ。販売先としては、環境に対して前向きに取り組む自治体、ビルの開発や管理に関するデベロッパーなど大手企業を想定する。また、「環境、意匠を一体とした住宅づくり・まちづくり、例えばスマートシティに取り込めないか。住宅メーカー、工務店、建築家などに価格ではない視点から提案していきたい」(中村CEO)と、これまでとは異なる新たな市場開拓を進めていく。

販売目標は、事業計画を現在策定中で、来期以降の売り上げ計画に盛り込む。

厚さ1.8㎜、貼るだけの簡単設置
環境負荷はシリコン系の1/6

有機半導体系のヘリアソルは、これまでのシリコン系太陽電池に比べて数々の優位点を持つ。


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