パラマウント硝子工業 温暖地域へ“断熱+防湿気密”を強化

「気密推奨部材」のラインアップを見直し、太陽SUNRと提案

パラマウント硝子工業は、新たに可変調湿気密シートや気密テープなど「気密推奨部材」のラインアップを見直し、その強化を図った。「太陽SUNR」とセットの断熱+防湿気密を武器に、関東以西の市場開拓を進める。

パラマウント硝子工業の代名詞と言える商品が「太陽SUN」だ。

「太陽SUN」は防湿層なしの”裸”の高性能グラスウール。防湿シートを別張りする必要があるが、壁内に隙間ができにくく、その隙間の確認もしやすい、また、筋交い部などの施工がしやすいといったメリットを持つ。

これらの特徴は施工品質を担保するうえで非常に重要なポイント。言い換えれば、より高い性能、しっかりとした性能を出すのであれば防湿層なしのグラスウールの方が適しているといえる。市場をみても、北海道や東北など高い断熱性が求められる地域では防湿層なしの高性能グラスウールが一般的に用いられている。

その寒冷地に強いグラスウールメーカーがパラマウント硝子工業で、「太陽SUN」のシェアは北海道で6割、北東北で5割弱に達する。

今、パラマウント硝子工業は関東以西の販売を強化しようとしている。そこで大きな武器となるのが、この寒冷地で培ってきたブランドだ。こうした地域でシェアを拡大していくために、寒冷地で実績を持つ「太陽SUN」(熱伝導率0・038W/(m・K))の上位製品である「太陽SUNR」のSRJ(熱伝導率0・035 W/(m・K))とSRG(熱伝導率0・032 W/(m・K))を訴えていく戦略を取った。温暖地での高断熱化の需要に応えていく、それは省エネ性能向上の大きな流れにも合致する。

可変調湿気密シート「太陽SUNR 調湿すかっとシート プレミアム」(上)と太陽SUNR(下)で、関東以西の断熱+防湿気密を推進

関東以西において「太陽SUNR」を拡大するために必要不可欠なのが別張りシートなどの「防湿気密」である。そこで気密関連部材など周辺部材を見直し、断熱+防湿気密をセットとして提案する戦略を打ち出した。これまでもこうした商材を取り扱ってはいたが、あらためて整理し、カタログなどの整備を行うことで、強く訴求していこうというものだ。

「太陽SUNR調湿すかっとシート プレミアム」をはじめ高断熱化に必要な周辺部品を収録した専用カタログ

高断熱化に必要な周辺部材をフルラインアップ

今回、新たにラインアップした商品のなかでも目玉といえるのが可変調湿気密シート「太陽SUNR 調湿すかっとシート プレミアム」。気密シートを手掛ける酒井化学工業と組み、オリジナル商品として販売する。

住宅の断熱性能が高まるなか、高温多湿な地域で対策が求められるのが、蒸し暑い外気が壁の中で冷やされて起こる夏型結露である。その解決に不可欠なのが可変調湿気密シートだ。一般的な気密シートと異なり、調湿機能を持つ。高湿度の環境時には透湿機能が働き、壁内の湿気を逃がす機能を持つ。一方、低湿度の環境時は防湿機能が働き、室内から壁内への湿気の移動を妨げ、内部結露を防ぐ。壁内湿度を調整することで内部結露を抑制、木材の腐朽やカビの発生を防止する。

「太陽SUNR」と組み合わせて使うことで、より品質の高い断熱+防湿気密が可能となる。

もちろん、これまでの防湿気密シート「ボーダー」、また、シート幅555㎜の柱・間柱のスパン用防湿気密シート「ハウスロンZEROシート」もラインアップ。「どのような要望にも応えられるような品揃え」(業務推進部)となっている。

シート幅555㎜の防湿ポリエチレンフィルム「ハウスロンZEROシート」。ハウスロンZEROシリーズ施工時の補修にも使用できる

気密テープは、これまでのブチル系に加え新たにアクリル系のものも揃えた。また、気密役物を増やしたのもポイント。壁面の貫通パイプに装着するだけで防水性と気密性を実現する「LSパイプスハット」、「ハイパット」など、その充実を図ることで現場の手間を削減する。例えば、「太陽SUNR 調湿すかっとシート プレミアム」には円が描いてあり、パイプの太さに合わせてカットし、そこに役物を貼るだけで気密が取れる。

これら以外にも通気スペーサー、外張り断熱工法用ビスまでラインアップは幅広く、一般的な周辺部材はほぼ網羅されている。

体感棟「パラマン館」が唯一無二の大きな武器に

今後、ビルダーなどに向けて断熱+防湿気密の提案を積極化させる。ここで同社の大きな武器となるのが断熱体感棟「パラマン館」(福島県須賀川市)だ。HEAT20のG2レベルで、開口部を見直せばG3レベルまで見込めるという非常に高い性能を持たせたモデルハウスだ。

断熱体感棟「パラマン館」。パラマン館で得た断熱、防湿気密に関するノウハウも提供する

高いレベルの断熱性能を実現しようと考えるビルダーなどに「パラマン館」を体感してもらい、温熱環境や暖房費などの実際のデータを見てもらうことで高断熱化の参考にしてもらう。さらに建設過程の動画・写真などを通じて施工面を確認することも可能だ。「私たちはメーカーであり、扱う商材をどのように組み合わせ、どのように施工すれば、どのような性能を実現できるか、また、その商材が持つパフォーマンスを最も発揮できるかを伝えることが役割」(業務推進部)と話す。

パラマン館のような住宅をつくるには、断熱材以外に気密シートなどの部材、施工ノウハウが必要で、要望に合ったノウハウを提供できることをアピールしていく考えだ。

今、住宅の断熱性向上に向けて国、住宅産業界全体が大きく動いている。2025年度には省エネ基準への適合が義務化されるが、それは最低水準。今年秋からはZEHレベルの等級5でなければフラット35Sの適用、長期優良住宅の認定は受けることができなくなる。さらに上位等級の等級6、7が設定される予定だ。今後、関東以西の温暖地域でも高断熱化の動きが加速していくだろう。

こうしたなかで気密推奨部材のラインアップ強化は、単に周辺部材を充実したということにとどまらず、断熱性向上に取り組もうとするビルダーをバックアップしようという同社の姿勢の表れと言える。

パラマウント硝子工業株式会社
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