安倍元首相を悼む/新たな“普請”の途に
安倍元首相を悼む
改めて振り返ると、7年8か月という歴代単独最長内閣の重みをひしひしと感じる。取材ノートは、安倍政権の施策の数々で幾冊にもなる。さまざまなキャッチフレーズが踊った。「日本を取り戻す」は民主党政権から政権を奪還したときの言葉だ。デフレからの脱却を目指した大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の「三本の矢」は「アベノミクス」として政権の基盤となった。世界全体を俯瞰していく“地球儀俯瞰外交”は安倍政権の大きな特徴であり成果だ。在任期間中、延べ176か国・地域を訪問した。魅力あふれる地方を創造していく「地方創生」、女性が輝く社会の実現をうたった「女性活躍社会」、少子高齢化にチャレンジした「一億総活躍社会」、さらには従来の労働制度、社会の発想の変革を求めた「働き方改革」など、そのスローガンにもとずく施策は我々記者のメシのタネだった。もとより「森友・加計」、「桜を見る会」、「忖度政治」など長期政権ゆえの問題点がいくつも浮上した。安倍政権の功罪や政治手腕に対する検証などは今後、冷徹に行われてしかるべきだろう。
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