SOMPO LIGHT VORTEX、空き家活用で新手法 暮らしサービス提供
将来的な生活データの活用も
SOMPO LIGHT VORTEXは、空き家活用の新たな手法として、安心・安全・健康な生活体験を提供する「SMACOYA」の実証実験を開始する。生活系アプリなどを使ったサービスも提供していこうとしている。
SOMPO LIGHT VORTEX(楢崎浩一代表取締役CEO 以下、ライトボルテックス社)は、SOMPOホールディングスグループの一員として、2021年7月1日に設立された会社だ。デジタルを活用したサービス創出力の強化と新たな事業機会の獲得による「新たな顧客価値の創造」が設立の目的。
同社が新規事業の創出の一環として実証実験をスタートさせるのが、「SMACOYA(以下、スマコヤ)」。空き家を活用したサブスクリプション型の賃貸住宅を通じて、「住宅」ではなく、「暮らし」を提供するサービスを具現化しようというチャレンジだ。
さいたま市の戸建住宅で実証実験を開始
スマコヤでは、ライトボルテックス社が空き家を取得し、賃貸住宅として貸し出していく。SMACOYA事業部長の上原高志執行役員EVPは、「在宅ワークの普及によって、音の問題や部屋数の不足といった不満を抱えている人が増えている。一方で、取得環境や働き方の変化を踏まえると、必ずしも持家にこだわらない層も増えていくのではないか。それであれば戸建の賃貸住宅を選択し、ライフスタイルなどが変化したら住み替えるという暮らしの方が、これからの居住ニーズを満たせるのではないか」と語る。
既にスマコヤの事業化に向けて空き家を取得しており、現在、埼玉県さいたま市の戸建住宅のリノベーションを検討しているという。
「家賃や利回りの想定などを踏まえながら、例えば断熱性能や耐震性能、さらにはデザインなど、どういった内容のリノベーションを行うべきなのかといった点を検討している」(上原執行役員EVP)。
今後の事業化に向けては、「最寄り駅まで10分、山手線圏内まで60分で移動できる」といった要件を満たす中古住宅を中心に取得していきたい考え。
生活系アプリなどを通じて生活体験を提供
加えて、生活系のアプリケーションや家電機器などを組み込んだ賃貸住宅を提供する。生活系のアプリなどについては、興味はあるものの、課金まではしないという消費者も多い。アプリを活用して住生活系サービスを提供する際、この点が障害となる。
そこで、スマコヤでは家賃にサービス利用料を含む形で、住生活サービスの普及を図っていく。こうした取り組みを通じて、スマートフォンがプラットフォームとなり、様々なアプリを通じたサービスを提供しているように、住宅をプラットフォームとして、安心・安全・健康な新しい生活体験を提供していこうというわけだ。
アプリなどを活用し、住生活サービスを提供する環境が整うことで、様々な暮らしに関するデータを蓄積することも可能になる。データを分析することで新たな住生活ニーズなどを探ることもでき、データ活用による新たなビジネスモデルの構築も見えてきそうだ。
新たなビジネスモデルの提示へ
今後、同社では新たなビジネスモデルの詳細については、実証実験などを通じて具体化していく方針だ。
空き家活用、住宅のIoT化による住生活サービスの提供、住生活ビッグデータの蓄積と活用という新たな住宅利用手法の提示──。
SOMPOグループという巨大資本の後押しも受けながら、様々な側面で住宅業界に新しい風を吹き込みそうなスマコヤ。
上原執行役員EVPは、「具体的に動いてみないと判断できない部分もあり、まずは2棟の中古住宅を取得し、どういう形の事業モデルを構築できるかを検討していく」と語っており、実証実験から事業化に向けた今後の動きに期待が集まりそうだ。
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