2022.4.12

木材利用促進協定の策定が進む

半年で10協定が締結、木造化の広がりに拍車

改正木促法で創設された「建築物木材利用促進協定」が広がりつつある。林野庁によると新法制定後に締結された協定は10に及び、一般建築を含めた木造化は着実に広がっている。


2021年10月に「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材利用の促進に関する法律」、いわゆる「改正木促法」が施行されて半年が経つ。法改正の大きなポイントである〝一般建築も含めた木造化の推進”が着実に進みつつあることが、林野庁が公表した「令和3年度 建築物における木材の利用の促進に向けた措置の実施状況」で明らかになった。

同法改正で新たに創設された制度の一つが「建築物木材利用促進協定」制度だ。これは国・地方公共団体と事業者などが協定を結んで、建築物における木材利用を促進するもの。国・地方公共団体は協定を締結した事業者などに必要な支援を行うことになっている。

林野庁によると、3月末までの半年間における協定締結は10例に及ぶ(表)。協定の形態としては、国または地方公共団体と建築主が結ぶ「2者協定」、ここに林業・木材産業事業者や建設事業者などが加わる「3者協定」、都市における自治体と建築主、そして山村における自治体と林業・木材産業事業者などが結ぶ「都市/山村連携型」などか想定されている。これまでに締結された協定のほとんどは「2者協定」であるが、「3者協定」の一つが野村ホールディングスとウイング、農林水産省による「地域材の利用拡大に関する建築物木材利用促進協定」だ。野村不動産HDは今後5年間で建設予定の同グループの建築物において国産木材の活用を段階的に進め、期間内に1万㎥の国産木材を利用する。ウイングはこの利用促進を支えるため供給体制を整え、合理的価格で合法伐採木材の供給を適宜行う。また、両社は連携して植林支援も行う考えだ。一方、農林水産省は、両社に対して技術的助言や活用可能な補助事業などの情報提供を行う。

林野庁によると、積極的に木造化を促進するとされている低層の公共建築物のうち木造で整備された公共建築物の割合(木造化率)は、2020年度の実績で96%に達する。また、建築着工統計を用いて算出した低層の公共建築物における床面積ベースでの割合(木造率)は、2020年度の実績で29.7%である。

こうした動きを民間にまで広げて木造化を進めていこうというのが改正木促法の趣旨。中大規模木造も新たなマーケットとして注目を集める。今後、民間事業者による協定の締結はさらに加速していきそうだ。