大東建託、水害対策に特化した賃貸住宅を開発
非常時には近隣の地域住民との共助に活用
大東建託は、東日本大震災の発生から11年目となる3月11日、水害対策に特化した防災配慮型の戸建ての賃貸住宅として、ぼ・く・ラボ賃貸「niimo(ニーモ)」の販売を開始した。
近年、特に梅雨前線や台風などの「水害」により甚大な被害が発生している。気象庁がまとめた統計データによると、時間降水量50㎜以上の「非常に激しい雨」は、ここ30年で約1・4倍に増加している。氾濫危険水位を超えた河川敷数も2015年の159から、2017年の455、2018年の474、2019年の403と増加傾向にある。
ハウスメーカー各社は、水害対策を強化した住宅商品を開発し注目を集める。一条工務店は、水害発生時に建物を浮かせることで、5m級の水深でも床下や屋内への浸水を防ぐ「耐水住宅」を開発。ヤマダホームズは、浸水ハザードマップで確認した浸水水位以上の高さの塀を設置し、玄関、車庫などの開口部前に止水板を設けて浸水を防ぐ「水害対策仕様」の住まいを開発した。
そして今回、全国で約120万戸の賃貸住宅を管理する大東建託が、建築事務所Eurekaの稲垣淳哉氏、防災のスペシャリストであるNPO法人プラス・アーツの永田宏和氏とタッグを組み、水害対策に特化した賃貸住宅、niimoを共同開発した。
商品開発部の峠坂滋彦部長は、「新たに供給する賃貸建物における水害対策が大きな課題となっている。毎年のように水害被害が発生し、当社の管理物件に被災状況の確認に行っているが、行政の支援が届き始めるのは被災から約1週間後。それまで途方に暮れる被災者を見て、水害対策に特化し、日常時も非常時も安心して生活でき、非常時には”自助”の部分を支援できる賃貸住宅が強く求められていると感じた」と説明する。
水害対策に特化し、かつ、建物における様々な工夫や備えが日常時だけでなく非常時にも役立つ「フェーズフリー」の考え方も取り入れており、こうした防災配慮型の賃貸住宅は全国初となる。より公共性の高い賃貸住宅においても防災配慮型の住まいの商品化が進むことで、消費者のニーズを喚起し、メーカー間の開発競争はさらに加速していきそうだ。
賃貸住宅の水害被害データを活用
1階をRC造、浸水しても被害を最小限に
niimoの開発にあたり、参考にしたのは、同社の賃貸住宅の水害被害のデータである。甚大な被害をもたらした令和元年台風19号、21号において、浸水被害を受けた同社の賃貸住宅のうち、地面から50cm~1mまでの床上浸水の被害を受けたものは全体の61.6%と最も多くなった。
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