2022.3.10

LIFULL 脱都心、郊外の賃貸需要がさらに加速

購入はスペック重視で都心回帰、二極化が鮮明に

LIFULLは首都圏版の「住みたい街ランキング」をとりまとめた。購入では、都内の物件価格の高騰から売却も見据え、資産価値の高い都心エリアが回復をみせる。一方、郊外の需要も堅調で、二極化がはっきりと表れる形となった。


LIFULLが、首都圏版『2022年 LIFULL HOME’S 住みたい街ランキング』を発表した。「LIFULL HOME’S」に掲載された物件のうち、2021年の問合せ数から、賃貸・購入におけるユーザーの住みたい街をそれぞれ算出したもの。コロナ禍で脱都心の動きが注目されるなか、同時に都心エリアの回復もみてとれる。

賃貸では、昨年に続き郊外需要がさらに高まり、都心の人気エリアから脱する動きが加速している。2年連続で1位、2位となった「本厚木」と「大宮」をはじめ、3位「柏」(6アップ)、5位「西川口」(7アップ)と、いずれも郊外、準近郊の街が上位を占める。1時間弱で都心方面にダイレクトアクセスが可能な路線があり、かつ駅周辺が広く栄えた生活利便性の高い街が共通してランクインした。一方で、一昨年まで4年連続で1位であった「池袋」が12位(7ダウン)、「高円寺」が18位(7ダウン)など、都心・近郊の人気エリアが大きく順位を下げた。「長期化するコロナ禍で、将来に対する不安が増大」(LIFULL HOME’S 総研 副所長 中山 登志朗チーフアナリスト)したことで、家賃などの生活コストを抑える傾向がより一層強まり、「テレワークの普及で家と会社を往復する必要がなくなった」(中山チーフアナリスト)ユーザーを中心に、物件選びの基準がより自由になったと分析する。

購入では、都心志向が回復する一方で、郊外需要も堅調に推移し、二極化が鮮明となった。

1位、2位には2年連続で「勝どき」、「白金高輪」がランクイン、オリンピック選手村や駅周辺の大規模な分譲マンションで注目度の高いエリアが人気だ。さらに特徴的なのが、3位「横浜」(20アップ)、4位「浅草」(17アップ)と、都心・近郊に回帰する動きも出ていることだ。「この“エリア”に住みたい以上に、この“物件”に住みたいという意識が強まっている」(中山チーフアナリスト)傾向にあり、例年とは様相が異なると指摘。都内の物件価格の高騰が、スペックや資産価値など将来の売却を見据えた消費者意識を高めたことに加え、住宅ローンの低金利や住宅ローン減税などが、“今こそ買わなくては”という購買意識を高めたという。

その一方、郊外の需要も堅調で、5位「平塚」(9アップ)、7位「八街」(10アップ)、8位「千葉」(5アップ)がそれぞれ順位をあげ、会社のテレワークの普及状況が分かれ目となったようだ。こうした二極化については、郊外を選ばざるを得ない中低所得者や非正規雇用の考えが反映されたことも要因とし、「今後も感染状況が続けばテレワークが加速し、賃貸の郊外化、購入の二極化は継続していく」(中山チーフアナリスト)とみている。