文明住宅ではなく文化住宅を追求し暮らしが地域にしみ出す環境を
まめくらし代表取締役 青木純 氏
コロナ禍を経てこれまで以上に住宅というハードではなく、暮らしを売るという視点が大事になってきている。
「大家」という立場で賃貸住宅のあり方に一石を投じ、“くらしを育てるカンパニー”を標榜するまめくらしの代表取締役の青木純氏は、「高性能化や高機能化だけを追求する文明住宅ではなく、暮らしが地域にしみ出し、暮らし文化をもたらすような住宅が求められている」と指摘する。
──「大家」という立場から住宅づくりや街づくりに携わるようになった経緯を教えてください。
ある不動産会社で働いていたのですが、親族で保有していた賃貸住宅の経営を受け継ぐことになり大家になりました。正直、初めは大家という職業に何の魅力も感じていませんでした。しかし、「せっかくやるなら面白い仕事にしたい」と考えていた時に、分譲住宅なら自分好みに改装できるのに、なぜ賃貸住宅ではできないのだろうかと疑問に思いはじめたのです。そこで、入居前に入居者の要望に応じて改装できるようにしました。仲介をお願いしていた不動産屋さんにその旨を伝えたのですが、反応は薄かったですね。
そこで、直接、入居希望者の方に要望を聞いてみました。不動産屋さんから話を聞いた時は「別に要望はありません」と答えていたそうですが、私が直接話を聞いてみると、それなら壁紙にこだわりたいとなり、最終的にはフランス製の不織布の壁紙を使うことになりました。壁紙を決める過程で入居者の方と色々な話もできました。その結果、コミュニケーションが生まれ、この仕事に面白みを感じるようになったのです。
そこから当時は珍しかったDIY賃貸へと発展していきました。
──単純に採算性という点だけ言うと、大家自ら居住者と交流を図るというのは難しい気もしますが。
私の感覚では居住者の方々とコミュニケーションをとるほど、仕事が自分の手から離れていくという感じですね。
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